Google、クラウド自然言語APIと音声認識APIをベータ公開

米Googleは現地時間の20日、クラウドサービス「Google Cloud Platform」で使用できる機械学習を活かした2つの言語関連API、「Cloud Natural Language API」と「Cloud Speech API」について、一般向けのベータ版公開を開始した。いずれも今年3月のイベント「GCP Next 2016」で発表され、限定プレビュー提供がなされていたものだ。

「Cloud Natural Language API」は、人間が作成する自然言語テキストのなす構造と意味をコンピュータで解析可能にするGoogleのAPI。現時点で英語、スペイン語のほか、日本語にも対応している。今後はさらに対応言語を拡大させる予定という。

このAPIには、3つの機能要素が含まれる。1つはブロック単位で自然言語文章を理解し、執筆者の意見や感情をくみ取る「Sentiment Analysis」、2つ目は文章中から人や組織、イベント名、製品名などの固有名詞や場所、時間の表現といったものを見分け、テキスト内容と関連性の高いものを識別してラベリングする「Entity Recognition」、そして3つ目が、品詞を特定して文章の解析ツリーを作成、依存関係を見出した上で、構造と意味内容を正しく理解していく「Syntax Analysis」だ。

この「Cloud Natural Language API」は、さまざまな業種・分野の開発者や企業規模、必要とされる性能ニーズを満たすように最適化されており、多方面で活用できるとされている。一例としては、オンラインの製品レビューや、顧客からサポートセンターへ寄せられた問い合わせについての解析・対応に利用できることが紹介された。

「Cloud Speech API」は、80カ国語以上をカバーし、音声のテキスト変換を可能にするAPI。Googleも「Google Now」の音声検索や「Google Keyboard」での音声入力などで採用している、強力なディープラーニングニューラルネットワーク技術の「Automatic Speech Recognition」をアプリに組み込んで使用することができるようになる。

リアルタイムの音声認識・テキスト変換が行えるほか、その音声内容に含まれる命令を実行してプログラムを制御したり、マイクに向かって口述した内容をテキストに起こすなど、音声ファイルを介したテキスト変換を実行したりすることができる。

アルファ版提供でのカスタマーフィードバックを受け、より簡単に使用でき、素早く正確な変換が行えるものへと改良が加えられて、今回のベータ版公開にいたっている。

それぞれのAPIについて、料金プランも発表された。「Cloud Natural Language API」は、5,000ユニットまで無料で、それ以上になる場合、各機能についてユニット数ごとの月額制で料金が課金される。「Cloud Speech API」は、現時点でのLimited Preview版が無料で使用できる。今後は課金体系が導入される予定という。




Google Cloud Platform Blog　該当発表記事
https://cloudplatform.googleblog.com/2016/07/

「Cloud Natural Language API　BETA」
https://cloud.google.com/natural-language/

「Cloud Speech API LIMITED PREVIEW」
https://cloud.google.com/speech/