増加を続けるサイバー犯罪などに対処
「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(サイバー刑法)が、17日午前の参院本会議で与野党の賛成多数で可決された。
法律は、増加を続けるサイバー犯罪などに適切に対処するため、コンピュータ・ウィルス作成罪の新設などの罰則の整備、情報技術(IT)の発展に対応できる捜査手続の整備を目的とする。
コンピュータ・ウィルスは作るだけで犯罪?
これにより、(1)正当な理由がないのに、(2)無断で他人のコンピュータにおいて実行させる目的で、コンピュータ・ウィルスの作成・提供を行った場合は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となる。また、正当な理由がないのに同目的でコンピュータ・ウィルスを取得し、又は保管した場合も、「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられる。
ウィルス対策ソフトの開発などの正当な目的でウィルスを作成する場合には、そのウィルスを、自己のコンピュータか、あるいは、他人のコンピュータでもその同意を得て実行する目的であるのが通常であると考えられ、それらの場合には,(1)と(2)の要件をいずれも満たさず、この罪は成立しない。
さらに、この罪は故意犯で、プログラミングの過程で誤ってバグを発生させても,犯罪は成立しない、という。
しかし、ウイルスの作成あるいは取得・保管段階で犯罪化され、被害発生前の行為が処罰対象となることは、ソフト開発者に対する見込み捜査を招くのではと懸念する向きもある。
法務省:情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案新旧対照条文 法務省:いわゆるサイバー刑法に関するQ&A