長年培った光学技術と画像処理技術を集結
モノの観察という概念を変える技術かもしれない。富士フイルム株式会社は、偏向方式を世界で初めて採用した高性能マルチスペクトルカメラシステムを開発したことを発表した。光の3原色(赤・青・緑)を利用した一般的なカメラと異なり、最大9つの波長に分光した映像を高精細かつ同時に撮影して、肉眼では識別できない情報を可視化できるという。
農業や製造現場の生産性向上に大きく貢献
物が赤く見えるのは、様々な波長で構成される光の内、対象物が赤の波長を強く反射するためである。青を強く反射すれば対象物を人は青と認識する。従来技術であれば、1つのピクセルは赤い波長のみ、青い波長のみといったように、1つの波長の情報しか得ることができなかった。
一方で、今回開発したマルチスペクトルカメラシステムは、1つのピクセルで赤や青、緑など様々な波長の光が持つ偏向情報を同時にとらえるため、従来手法に比べて得られる情報量が圧倒的に多く、解像度の高いデータを取得することができる。そのため、植物の葉緑素の活性度合いやコーヒーの中にある異物など、人の眼では識別できない情報も可視化可能となる。
同システムを導入することで、長年の経験・ノウハウを有する熟練作業者による目視よりも、高効率・高精度な観察や検査を実現できるため、農業や製造現場の生産性向上に大きく貢献するという。
(画像はプレスリリースより)

富士フイルム株式会社 プレスリリース
https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/5145