トイレのメンテナンス業務をAIでDX化、LIXILの新サービス
株式会社LIXIL(以下、LIXIL)は9日、パブリックトイレのメンテナンス業務をDX化する新IoTサービス「LIXIL Toilet Cloud」の提供を開始した。
日々の清掃やつまり・不具合の修理など、手間のかかるメンテナンス作業を最適化し、負担を最小限にしながら、効率良く美しさを保てるよう、施設管理者や作業者をサポートする。
パブリックトイレは多くの施設において不可欠なものであり、かつ使用頻度の高さなどから汚れやすく、管理者にとってとくにメンテナンス負荷が増大しやすいところとなっている。清潔で快適なトイレ空間を維持するため、多大な工数とコストをかけるケースは少なくなく、作業実施のための外注費は人材不足などもあって増大する一方という。
加えて、昨今は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動様式の変化から、施設利用状況との兼ね合いや作業内容に関するニーズの変化などもあり、効率的なメンテナンスのかたちを探ることが、以前にも増して難しくなっている。
こうした現状を受け、LIXILでは、自社のIoT技術を活用した新サービスとして「LIXIL Toilet Cloud」を開発した。LIXIL独自のAIがトイレの利用状況をモニタリングし、施設特性を踏まえた最適な清掃業務プロセスをリアルタイムで設計、指示出しを行う仕様だ。
AIのモニタリングというデジタル技術を活かすことにより、メンテナンス作業の無駄やムラを削減し、日々の業務プロセスを最適化する。
実証実験で業務工数の45.7%削減など効果を確認済み
LIXILでは、2017年からパブリックトイレとIoTの掛け合わせに着目し、オフィスや商業施設など、さまざまな施設でこうしたサービスにかかる実証実験を行ってきていた。今回の「LIXIL Toilet Cloud」には、その中で蓄積された技術開発と運用ノウハウが詰め込まれている。
すでにLIILが自社オフィスビルで行った実証実験では、「LIXIL Toilet Cloud」の提供する清掃業務効率化支援AIアプリケーションにより、清掃品質を維持したまま、実際に作業する清掃業務の工数を45.7%削減することに成功したとされる。
また、駅施設をはじめ、多くのパブリックトイレを保有する西日本旅客鉄道株式会社と共同実施した実証実験では、一部の駅で「LIXIL Toilet Cloud」によって最適化された業務プロセスの清掃を実施すると、従来のトイレ清掃に比べ定期清掃の回数を減らせることも確認されたという。
西日本旅客鉄道では、清掃業務を担うグループ会社も協力の上、この最適化結果を踏まえて清掃作業計画を変更、見直しを進めることにより、トイレ清掃業務を効率化することができた。
LIXILでは、サービス展開にあたり、AIによる清掃業務プロセスの最適化ソリューションに加え、日々の一般清掃ではアプローチしづらい汚れやつまり、臭いの原因をプロの技術で落とす排水管洗浄サービスや、トイレの器具トラブルに対処する点検サービス、定額制修理サービスも提供していく。
中核となる「清掃業務効率化支援AIアプリケーション」では、独自開発のAIがリアルタイムで対象トイレの利用状況をモニタリング、データとして処理し、その日その時の使用実態に即した最も効率の良い清掃プロセスとその内容指示を細かくスマートフォン画面で提示していく。
利用データを個々に分析したり、分析結果に基づいて新たな業務設計を考えたりといった手間は一切不要で、導入すればすぐ清掃業務プロセスをDX刷新できるという点が画期的だ。
「ベーシックプラン」には、このアプリサービスに加え、「点検・配水管洗浄サービス」をつける。LIXIL専門スタッフによるトイレの定期点検や動作確認、排水管洗浄、小便器への尿石除去剤投入といったケアが契約更新時の2年に1回のペースで実施されるものとなり、快適なトイレ空間の維持がしやすくなる。
より上位の「+CAREプラン」では、トイレのトラブル時に何度でも追加費用なくLIXILの修理工事など、メンテナンスサービスが受けられる「定額制修理サービス」がオプション提供される。
ベーシックプランに加え、追加の定額料金を負担することが求められるが、突発的な不具合対応にかかる工事業者選定や見積取得、発注稟議、支払いなど施設管理者にかかる多くの業務負荷をカットでき、いくらかかるか分かりにくい修理費用を定額化できるメリットがある。
何度でも、古いトイレでも、対応してもらえ、予算計上・予実管理にかかるトラブルも解決・回避できるとされる。
(画像はプレスリリースより)

株式会社LIXIL プレスリリース
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