汎用ヒューマノイドロボットの開発を加速
マサチューセッツ工科大学に端を発する米国のロボット開発企業、Boston Dynamicsは現地時間の16日、トヨタ自動車傘下の研究開発子会社、Toyota Research Institute(以下、TRI)と汎用ヒューマノイドロボットの開発事業でパートナーシップ提携を結んだことを発表した。
Boston Dynamicsのロボット「Atlas」と、TRIの大規模行動モデル技術を組み合わせ、開発を加速させていくとする。ロボット関連の強力な研究開発基盤を有する2社の協力により、本格的に社会実装可能な汎用ロボットの構築が期待される。
Boston Dynamicsは、ヒューマノイドロボットにおいて、きわめて高い機動性や両手の操作など、画期的な技術進歩を実現させてきたことで高い評価を得てきた。
最新世代の「Atlas」では、物理的能力と全身行動を生み出すソフトウェアとインターフェースの両面において、高性能なヒューマノイドプラットフォームを構築することを目指してきたこれまでの成果を凝縮・体現しており、AIによる操作スキルを発展的に活かす面で理想的なプラットフォームを実現させていた。
従来の油圧式から完全電動式とし、これまでより強力で可動域も広いロボットモデルへと刷新させた点でも注目を集めた。
社会問題に対応し暮らしの質を向上させるロボットを
一方のTRIは、ロボット工学における大規模行動モデル(LBM)領域で世界的にも開発の牽引役となっており、器用で細やかな作業も可能な力をもたせていくための生成AI応用など、拡散政策にかかる画期的な取り組みも展開させてきた。
さらに、オープンソースのロボットAIモデルとデータセットの開発においても主導的役割を果たしており、コンピュータビジョンと大規模言語モデルトレーニングにも強みをもっている。
こうしたTRIの大規模行動モデル技術に関する取り組みは、より器用な操作を実行するマルチタスク、視覚と言語をもとにする基礎モデルの構築を目指すものとなっている。
両社の強みと専門知識を等しく活かす今回の提携では、最新世代の「Atlas」が有する身体能力と、全身を用いた多様な行動をプログラムで命令・遠隔操作可能とする機能を組み合わせることにより、ヒューマノイドロボットをさまざまなタスクに従事させ、その性能にかかるデータ収集も可能にしていく。
得られたデータはシミュレーション評価などを通じ、高度な大規模行動モデルのトレーニングのために使えるものとし、大規模な事前トレーニングモデルとあわせ、さらに堅牢で汎用性の高い、優れた全身スキルを迅速に習得できるようにする。
なお、この開発加速に加え、ヒューマノイドロボットの基本的トレーニングに関し、いまだ残る疑問点の解決や、全身センシング技術を活用する研究モデルの強化、これら新機能をサポートするための人間とロボットの相互作用と安全性などを深く理解するための研究推進も両社で行っていくとした。
(画像はプレスリリースより)
Boston Dynamics プレスリリース
https://bostondynamics.com/