企業のサプライチェーン強靱化へ
製品及びサービスレベルのESG分析を通じ、持続可能な社会の実現を目指す九州大学発のスタートアップ、株式会社aiESG(以下、aiESG)は4日、世界的に高まる地政学リスク、貿易規制リスクに対応し、企業のサプライチェーン強靱化を支援するため、「サプライチェーン脆弱性分析ソリューション」の提供を開始したことを発表した。
世界各地における紛争や貿易規制の強化は、企業のサプライチェーンに深刻な影響を及ぼす。原材料価格の急激な変動や主要航路の寸断による物流の混乱など、さまざまな要素が調達コストの増大や安定供給の阻害要因となり、事業継続すら危うくすることも少なくない。
そこでaiESGでは、こうした不確実性の高い状況において、データに基づいた客観的なリスク評価と戦略的な意思決定が行えるよう、ESG分析・評価サービスとして提供してきた「aiESG Consulting」のサービスとして、サプライチェーン脆弱性分析ソリューションを拡充提供することとした。
企業経営の意思決定をサポート
リリースした「サプライチェーン脆弱性分析」ソリューションでは、主に3タイプの分析を実施するとともに、企業経営の意思決定を支えるシナリオ提案を行う。
第1には、独自開発の機械学習モデルを用い、地政学的リスクがコモディティ価格に与える影響を品目別に定量化、情報提供する。分析の対象は原油などのエネルギー、コーヒーなどのソフトコモディティ、小麦などの穀物、金属など多様で、主要40品目のスポット価格をサポートする。価格変動の感応度を算出することで、金融ヘッジとサプライヤー多様化のどちらが有効かといった、データに基づく具体的な意思決定をサポートするという。
第2に、グローバルな海上輸送データを活用し、サプライチェーンの地理的リスクを可視化、迂回コストを算出、交通の要衝流通分析を行う。調達品がスエズ運河やマラッカ海峡といった、とくに地政学リスクの高い交通要衝をどの程度通過しているかマッピングを実施、紛争などによる迂回航路発生時のコスト影響も算出し、供給ルートの脆弱性を具体的に評価する。これによりルートの最適化やリソースの最適配分を可能にするとしている。
第3には、貿易環境の変動制指数分析を挙げており、原材料供給元国の規制安定性を比較・評価、貿易取引環境の変化により発生しうるリスクを洗い出して示す。分析では、主要輸出国が特定のコモディティカテゴリに対して実施している貿易介入の内容と過去実績に基づく頻度をリサーチし、変動制を明らかにする。その情報から貿易政策の安定性に基づき輸出国を分類、介入が頻発する国と安定的規制環境を持つ国とを識別し、リスクを考慮した調達戦略の策定をサポートする。
これら分析を組み合わせることにより、企業はサプライチェーンにおける価格変動、物流寸断、貿易規制という3つの主要リスクを統合的に評価・管理できるようになると見込まれ、定性的リスク認識にとどまらず、定量的なデータに基づく実効性の高い調達戦略を立案できるようになるとされる。
aiESGでは、今後も独自のAI技術とESG評価ノウハウを活かし、企業の持続可能な成長に貢献するソリューション開発を進めていくとした。
(画像はプレスリリースより)

株式会社aiESG プレスリリース
https://aiesg.co.jp/