最近では様々なネットセキュリティ会社が年次報告書を発行しているがシマンテックの「グローバルインターネットセキュリティの脅威に関する報告」は非常に多くの幅広いデータがまとめられており、一読の価値がある。
新興国に狙いを定めるサイバー犯罪
この報告書の第一の結論は犯罪活動の対象が新興国へ移っているということだ。その最たる国がブラジルとインドで、2009年のデータで急増している。インターネットはグローバルであるがゆえに攻撃がどこからくるかはわからないし、新興国では攻撃に対する認識や規制が甘いからだ。
狙いを定めた攻撃は2009年の大きな問題となっていた。事実、グーグルと中国との衝突の引き金となった通称「オーロラ事件」が最も顕著な事例である。この報告書では2009年の個人情報流出の60%はハッキング攻撃によるものであり、その大部分はクレジットカード処理機に対する攻撃である。
PDF攻撃の拡大が顕著
2009年のウェブベースの攻撃のトップはインターネットエクスプローラとアドビアクロバットリーダーであった。重要なのはPDF攻撃の増加であり、2008年にはウェブベースの攻撃全体の11%であったのが2009年には49%に増加している。
シマンテックの報告はスパムやフィッシングなどの他の脅威についても詳細に記述しており、インターネットの不安定さの全体像についての有用な情報源となっている。

Internet Security Threat Report
http://www.symantec.com/business/theme.jsp?themeid=threatreportCybercrime Moving to Emerging Countries
http://www.pcmag.com/article2/0,2817,2362955,00.asp