Bingは表示広告が少ない
Bingユーザはお気付きだろうか?Microsoft社の検索エンジンBingは、他社のブラウザに比べ検索結果の横に出る広告の数が少ない。
Microsoft社のコメントによれば、Microsoft社のブラウザは人工知能機能を使って最も関連性の高い広告をピンポイントで掲載しているという。
検索-広告アルゴリズム
検索結果の横に表示される検索広告。迷惑がるユーザーもいるが実は重要な役割を果たしている。検索広告は年間250億ドル以上の収入を生みだしているのだ。
Googleはアメリカの検索収入シェアの約63%を占める。Yahooのシェアは約19%、Bingのシェアは約13%(comScore調べ)。検索広告の収入のほとんどはGoogle社の収入だ。
Microsoft社は検索-広告アルゴリズムを使う事でひとつひとつの広告の検索-ワードとの関連性を高めクリック数を増やす事を狙っている。この事はひとつのヒントだ。つまり広告の数を増やせば収入が上がるとは限らないという事。
検索ソフトには広告のクリック履歴を解析するアルゴリズムが使われている。このアルゴリズムを使うとどのようなユーザーがどのような検索ワードでどのような広告をクリックしているのかがわかる。
AdPredictor技術
昔は広告表示アルゴリズムはもっと単純なものだった。たとえばユーザーが「車」という検索ワードを入力したらガソリン代に関連する広告を表示するといったシステムだ。
Bingには「自動学習」機能がある。機能の名前はAdPredictor。イギリスケンブリッジに住むMicrosoft社所属の研究者ジョハン・キノネロ・キャンデラ氏が開発した。
AdPredictorはベイズモデリング(Bayesian modeling)という人工知能ツールを使い、データの履歴を積み上げ起こりうるイベントを予測する。検索広告の場合だったらユーザーの全体のクリック履歴の中でその広告がどの程度の頻度でクリックされているかといった分析を行い表示に反映させる。たとえば車に関する広告の表示量を1日の時間帯、ユーザーのロケーション、広告のページの中の位置に応じて変える。
AdPredictor技術を導入してBingの広告のクリック率は上がったという。前に使っていた検索エンジンLive Searchと比べると広告のクリック率は約3倍になったという(マーケティング会社Didit社調べ)。
またAdgooroo社の調査によれば、Bingでは1つの検索ワードあたり表示する広告数は3.85、Googleでは5.72だという。Yahoo社はBingの採用を取りやめた。Yahooでは1つの検索ワードあたり表示する広告数は6.85、広告数を多めにしたいという会社の意向からBing採用を取りやめたという説もある。
エモリー大学の機械学習研究家キゴ氏は言う。キ・ゴ氏はユーザーが検索広告にどのように反応するかについて研究している。
キ・ゴ氏
多くのアルゴリズムはユーザーがデータを更新する必要がある。Bingテクノロジーの重要な要素、それは新しい情報をその場で自動的に学習する能力だ。この機能自体はそれほど新しい機能ではない。Bingの新しさというのはこの機能の使い方なのだ。

Technology Review
Fewer Ads, More Clicks
http://www.technologyreview.com/web/25827/Bing
http://www.bing.com/