オーストラリアで開発
ハイチ大地震では、携帯電話は被災後2日間全く使えず、満足に使えるようになったのは1週間後だったという。大きな地震がおきた場合、電波塔が倒れる可能性がある。そうした状況下では有線電話はもちろん、携帯電話さえ使えなくなる可能性がある。さらに利用者が殺到して回線がパンクする可能性もある。
そんな中、オーストラリアで災害に強い網状通信ネットワーク・システムが開発された。このシステムに必要なデバイスは携帯電話だけ。通信衛星や電波塔なしで通話が出来る。
電波塔なしで通信可能
このプロジェクトの名前は「African wildcat(アフリカヤマネコ)」。非常時における携帯電話の通信を強化しようという試み。
改善点は以下2点。
1つめ。臨時の電波塔。被災時に被災エリアにバッテリーで動く電波塔を飛行機から落として機能させる。この事で一般の電話でも一時的に通信が可能となる。
2つめ。Wi-Fiフォンだけで構成する網状通信ネットワーク・システム。個々のWi-Fiフォンはメッシュ・ネットワークのルータとして機能する。Wi-Fiフォンのメーカーは関係ない。しかも既存の電話番号で使用可能。
プロジェクトのウェブサイトによれば、このアイデアによって速く、安く、強い通話システムが構築出来るという。通信インフラが破壊されても回線が途切れず、またコストも低い。
オープンソースソフトウェアDNA
この網状通信ネットワーク・システムを機能させるにはWi-Fiフォンに専用のソフトウェアをインストールする必要がある。ソフトウェアの名称はDistributed Numbering Architecture(DNA)。
このオープンソースソフトウェアを設計したのはサウスオーストラリアアデレードにあるフリンダーズ大学サーバル・チームのプロジェクトメンバー。
同チームは7月9日、電波塔のないオーストラリア奥地でこのソフトウェアのテストを行なった。3台の携帯電話を使って1平方キロメートル(およそ0.4平方マイル)の範囲で通信を行なったところ、通信に成功した。
またこのプロジェクトから通信システム「Batphone」が生まれた。「Batphone」はいわゆる無線ネットワーク。ライセンス不用の通信帯を使って通信を行う。
携帯電話が使う通信帯は地上数百フィート。しかしプロジェクト・リーダー・Paul Gardner-Stephen氏によれば、通常の携帯電話機に小型の送信機を付ける事でこの通信帯は拡大するという。

With Australian Mesh-Network System, Cellphones Work in Remote or Disaster-Struck Areas, No Need for Towers
http://www.popsci.com/gadgets/article/2010-07/australian-teams-tower-less-cellphone-network-enables-communication-remote-areas