NTTデータ、金融機関とFintech企業をつなぐ「OpenCanvas」を発表

株式会社NTTデータは12日、金融機関向けのクラウドサービス「OpenCanvas」を開発、9月より提供を開始すると発表した。Fintech関連の先端技術を有する企業と各金融機関サービスとの連携を、APIによって効率よくスピーディーに実現させる。

「OpenCanvas」は、全国ほぼ全ての金融機関が用いている「ANSER」のシステム基盤や運営ノウハウを活用しており、その信頼性の高い本人認証機能や金融機関システムとの接続基盤をベースとしながら、各種APIとAPIの管理機能などを提供するクラウド型のサービスとして設計されたもの。新たなFintechサービスの導入に際しても、金融機関の既存設備とシステムが流用でき、無駄なコストを生じさせることなく、安全に迅速に、利便性向上へ寄与するバージョンアップを図れるようになる。

近年、日本国内でも国際的なFintechの進展に対応し、金融機関とFintech関連企業とのオープン・イノベーションを促進させることが必要であるとの考え方から、金融庁による制度整備の検討や、国会において金融機関のAPI解放に関する制度的枠組み整備を目的とした「銀行法等の一部を改正する法律案」の審議がなされるようになってきた。

こうした社会変化を背景に、金融機関の機能・情報の活用を促し、Fintechサービスをめぐるオープン・イノベーションを支える、API提供がより重要視されることとなっているため、NTTデータでは、今回「OpenCanvas」をその基盤として開発したという。

「OpenCanvas」は、すでに金融機関のほとんどで活用されている「ANSER」を用いた新しいクラウドサービスとなるため、API提供時に必要となる本人認証機能、API管理基盤、インターネットとの接続基盤、金融機関システムとの接続基盤といった部分を、新たに開発したり導入したりする必要がなく、金融機関は安価かつ迅速に、これを活用した新しい取り組みを開始できる。

「OpenCanvas」上では、各金融系APIを集約し、一定のルールに従って共通のAPI仕様をとるものとする。これによってFintech関連企業では、複数の金融機関との接続において、個別にカスタマイズした開発を行わなくてすむ、あるいは最小限の最適化ですませられるようになり、効率よく拡張性の高いサービス展開が実施できるようになる。

金融機関にとっても、「OpenCanvas」のAPI仕様に対応した多彩なFintech企業の技術・サービスが、ここから一堂に、充実してつながれるものとなるため、顧客満足度を高める新サービスを提供しやすくなり、大いにメリットを享受できることが見込まれる。

金融関連のサービスを支える基盤環境として、Intrusion Prevention System（侵入防止システム・IPS）やWebアプリケーションファイアウォール（WAF）を備えた、高いセキュリティ性と信頼性をもつクラウドサービスとなっており、これを各金融機関が共同利用できる「プライベートクラウド」として提供することから、金融機関・Fintech企業のいずれもが、安心・安全な環境を、リーズナブルに利用できるようになるともされている。

現時点で提供予定のAPIは、本人認証、口座確認のほか、個人ユーザー向けでは残高照会、入出金明細照会、振込振替依頼、カードローン、法人ユーザー向けでは、残高照会、入出金明細照会、振込振替依頼、総合振込依頼、賞与・給与振込依頼といったものが挙げられており、その他にも順次提供対応を進めていく方針という。

（画像はプレスリリースより）




株式会社NTTデータ　ニュースリリース（プレスリリース）
http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2017/051201.html