今週開幕の独モーターショーでも車載ネットがトレンド
現在のIT機器として、もっとも熱い競争が繰り広げられているといえるスマートフォンやタブレット端末市場。だが、次に来るのは車市場かもしれない。16日のAFPBB Newsが伝えている。
13日に開幕し、開催中の第64回フランクフルトモーターショー2011では、各社がインターネット接続環境を整えた新車を出展しているのだ。いまや自動車メーカーの考える次世代モデルの車は単なる乗り物ではなく、現代の生活空間の延長としてのより快適な空間でもあるもの、運転中でもネット環境を利用できるものとなっているようだ。
各社特徴はあるがライフスタイル・快適性を重視
BMWはすでにドライバーの好みに合うレストランや最寄りのATM、駐車スペースなど、ドライビングに必要な情報をクリックだけで探せる車載ネットシステムを提供している。同じドイツのライバル、Daimler(ダイムラー)も、それを追うように新たに開発した車載コンピューターを発表している。これは、駐車中であれば、ドライバーが車内でネットサーフィンできるようにしたものだ。
Ford Motor(フォード)が発表した新型コンセプトカーの「Evos(エヴォス)」は、ユーザーの好みに合わせ、車内温度までカスタマイズできるコンピューターシステムを搭載。自宅のエンターテインメントシステムにアクセスし、車内で好みのニュースや音楽番組を聴くこともできる。
Bosch(ボッシュ)やValeo(ヴァレオ)などの部品メーカーも車載コンピューター技術の開発に力を入れており、一例では、ヴァレオがドライバーが乗っていなくても駐車ができるシステムを発表したそうだ。
世界的に急増すれば、サイバー攻撃の危険も
ネットアクセスが可能な車の台数は、今後数年のうちに世界的に急増すると見る向きが強いともいわれる。しかし、もちろんドライバーの注意を散漫にさせてしまい、安全性が損なわれてしまっては元も子もない。各メーカーにはそうした安全性面への細やかな配慮が必要とされるだろう。
くわえて、セキュリティー大手McAfee(マカフィー)は、こうした新しい車載コンピューターがハッキング攻撃を受ける可能性に対し、注意喚起を行っている。仮に車がハッキングされれば、安全システムに重大な危険を及ぼされかねないというのが同社の指摘だ。
データ保護の面でも、電気自動車など、車内に保存された大量の個人情報からドライバーの居場所・移動経路等が追跡される恐れがあり、個人情報保護に一層の注意が必要となることを忠告する専門家も多いそうだ。
課題となる点は残されているものの、今後、車載ITサービスが広がっていく可能性はやはり高いだろう。動向が注目される。
Internationale Automobil-Ausstellung 2011(フランクフルトモーターショー)McAfee セキュリティ研究レポートAFPBB News