従来の方法とはまったく異なる加工で実現
iPhoneとiPadのカラーにブラックとホワイトしかない、この点を残念に思っている向きも多いかもしれない。しかし、下の画像をご覧頂きたい。素晴らしい発色のiPhoneの数々。米AnoStyle社がこの鮮やかなカラー加工サービスを提供している。
iPhoneの色を変えるにあたって、AnoStyleは独自の技術を採用しているという。それは表面のペイントやコーティングという従来の方法とはまったく異なる。AnoStyleは「anodization」と説明している。この技法については後述するが、実はiPodシリーズの筐体のカラーバリエーションにも用いられている手法だ。ペイントではないので、剥がれるということがない。また、スピーカーのある底面部まで、きっちりと美しく処理されている。
色のラインアップは、
レッド、ピンク、イエロー、ゴールド、オレンジ、ブルー、teal(青緑)、バイオレット、copper(赤褐色)、グリーン、ブルースティール、ブロンズ
と、iPodよりも多彩だ。さらに引き続き新色もテストするとしており、希望のカラーのアイデアがあれば知らせてほしいとしている。
ただ、残念ながら、現在のところサービスはアメリカ国内のみ。ちなみに、AnoStyleにデバイスを送って、作業をしてもらうことになる。価格はiPhone5の場合が249ドル(約2万円)、iPad miniで299ドル(約2.5万円)と、ややお高めだ。
国内メーカーでも可能な技術
「anodization」は陽極酸化と訳されるが、ステンレスやアルミニウム、チタンの表面処理加工に用いられる技術。東陽理化学研究所のサイトによれば、
チタンの表面に10nm~300nm程度の膜厚の透明な酸化皮膜を陽極酸化で成長させ、鮮やかなカラーの表面に変化
させること。iPhoneの筐体のアルミニウムでも同様の加工が可能だ。
鮮やかな発色が特徴的だが、酸化皮膜自体に色があるわけではなく、酸化皮膜とその下の素材による光の反射の違いで色となって見えるという。原理は、
シャボン玉の薄い透明皮膜による虹色と同じ
とのことだ。色合いのバリエーションは、酸化皮膜の厚さでコントロールできるという。
これを見る限り、日本国内でもAnoStyle同様のサービスが出てきてもよさそうだが、どうだろうか。楽しみに待ちたい。

AnoStyle
http://www.anostyle.com/東陽理化学研究所:表面処理加工
http://www.toyorikagaku.com/technology/page1