高速化と低消費電力化を両立
東芝は10日、プロセッサの消費電力を従来の約3分の1に抑えられる新方式の
STT-MRAM(不揮発性磁性体メモリ)を開発したことを発表した。同メモリは、スマホなどモバイルデバイスのプロセッサのキャッシュメモリ用に開発されたもの。東芝によれば、キャッシュメモリに採用されているSRAMよりも低消費電力で動作する世界初のSTT-MRAMだという。
従来のSTT-MRAMでは、速度を上げると消費電力も増えてしまっていたが、東芝は、
「新開発のSTT-MRAMは、消費電力を下げつつ、同時に動作速度を上げることに初めて成功し、動作時の電力消費量を従来の10分の1程度に低減」
したと発表した。
[新開発STT-MRAMのメモリ素子断面(東芝発表)]
SRAMに替わるMRAMの実現へ前進
また、新開発のSTT-MRAMでは、
「動作状態でも待機状態でも、リーク電流(電流の漏れ)が常にゼロになるノーマリオフ回路構造を実現」
したという。
MRAMはSRAMに替わるものとして期待されているが、従来のMRAMでは動作状態での電力消費が大きく、結果的にSRAMより消費電力が大きくなってしまっていた。新開発のSTT-MRAMが実用化されれば、プロセッサの消費電力の削減が可能となる。東芝は、実用化に向け、研究開発を加速するとしている。
余録:MRAM
SSD(ソリッドステートドライブ)では、今年5月、株式会社バッファローメモリが、DRAMに替わり、MRAMを採用した世界初のSSDの開発に成功、サンプル販売を開始したことを発表している。
バッファローメモリによれば、MRAM搭載のSSDには、
・電源遮断に対する優れた耐性
・起動スピードの飛躍的な高速化
・消費電力の大幅な抑制
などの特性があるという。

東芝 ニュースリリース:世界最高の低消費電力性能を実現した新方式の不揮発性磁性体メモリ(STT-MRAM)を開発
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2012_12/バッファローメモリ:省エネ、高速化に貢献し、電断耐性を飛躍的に高める世界初、ランダム不揮発性メモリ「MRAM」搭載SSDの販売について
http://buffalomemory.jp/news/120508a.html