驚きの新素材「パワーフェルト」
米ノースカロライナ州のウェイクフォレスト大学、ナノテクノロジー-分子素材研究所のデイヴィッド-キャロル所長をはじめとする研究開発チームが、持って歩くだけで携帯電話の充電ができてしまうという新素材の研究を進めているという。次世代エネルギー素材としても注目が集まっている。
この研究は、学会誌「ナノレターズ」最新号の発表されたもので、素材は「パワーフェルト」と名付けられている。微小なカーボンナノチューブを合成樹脂繊維に閉じ込めて形成された素材で、温度変化の熱からエネルギーを取り出す。
(同大学ニュース記事より参考画像)
活用用途は幅広い!実用化に期待
携帯電話であれば、この「パワーフェルト」をはりつけた状態で手に持って操作したり、ポケットに入れて歩いたりすると、体温で常温よりも温まるため、その熱を電力に変換、充電エネルギーへ回せるという。チームの説明によると、完全な充電は不可能でも、バッテリーの持ち時間を1~2時間延長するといったことは十分に可能と考えられるそうだ。
活用できる用途はこれだけではない。熱があればエネルギー生成が可能だから、自動車の熱をバッテリー充電に用いたり、現在の太陽光発電パネルの発電効率を高めたりといった用途もある。熱を起こせば電力が確保できることから、非常時用のグッズにも活かせるだろう。
また「パワーフェルト」は裏返すとナノチューブで放熱する、つまり熱を吸い取ることもできるため、医療用の冷却材などとしても使用できる可能性があるそうだ。
実用化段階まではまだ来ていないものの、今後出資も募り、幅広い利用の実現を目指していくという。期待の素材の登場だ。

NANO LETTERS
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl203806qWAKE FOREST UNIVERSITY News Center
http://news.wfu.edu/2012/02/22/power-felt-gives-a-charge/