スマホなどの高精細化&省電力化実現
シャープが6月1日、酸化物半導体「IGZO(イグゾー)」の新しい技術を開発したことを発表した。半導体エネルギー研究所との共同開発により実現したもので、これにより、スマートフォンやタブレット端末など、モバイル向けの液晶パネルにおける一層の高精細化および低消費電力化が実現するという。
IGZOはインジウム、ガリウム、亜鉛で構成する酸化物を薄膜トランジスタに用いた液晶で、これまでのアモルファスシリコンに比べ、電子の移動速度が20~50倍も速い。そのため、同じ駆動電力でも小型化、高精細化が可能で、薄膜が可視光を通すため、バックライトの光をおさえ、その分消費電力を少なくすることができる。
今回の新技術として発表されたのは、この酸化物半導体にまったく新しい高い結晶性をもたせたもので、アモルファス構造のようなものではない、異なる構造により、さらに物性を安定化させることができるようになったという。
この研究成果詳細は、6月5日から米・ボストンで開催されるディスプレイの国際学会「The Society for Information Display(SID)」でも発表するそうだ。
(シャープ 発表会レポートより参考画像)
今年度中に新技術へ転換
シャープでは、今春から亀山第2工場にて、世界初のIGZO技術を用いた液晶パネルの量産を開始している。タブレット端末向けの液晶パネルで、出荷先はAppleの新型iPadといわれる。このIGZO技術による液晶パネルは、今年度中にも、すべてこの新技術を用いたものへと転換する方針だそうだ。
これにより現在のIGZO液晶パネルよりもさらなる高精細化、タッチパネルの高感度化、低消費電力化がはかれる見込みで、スマートフォンやタブ連と端末の液晶のみならず、有機ELディスプレイや非ディスプレイへの応用も可能とみているという。
大画面テレビでは高精彩を活かせないので、まずはその特性を極めてよく発揮できるモバイル用途で進めていくとのことだが、さまざまなデバイスにおける進化を支える、同社のコアテクノロジーのひとつとなりそうだ。

シャープ ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/120601-a.html