iPadで情報共有、“ミスマッチ”も減少
iPadの導入により、救急車による平均搬送時間が1分短縮した、そんな報告を医療介護ニュースの「CB news」が10日、報じた。報告は、総務省消防庁の有識者検討会で、佐賀県によって発表されたもの。
記事によれば、佐賀県の1件あたりの平均搬送時間時間は10年前に比べ、7分長くなった。また、病院と救急隊員の連携がうまく取れず、軽症患者が救命救急センターにに運ばれる事態も発生していた。
そこで佐賀県はiPadを救急車に導入、救急隊員が患者情報や搬送先の医療機関名などの情報を入力することで、
別の救急隊員が、それを基に搬送先を探したり、医療機関側の受け入れが可能かどうかの情報を閲覧したりできるようにした
という。また、医療機関側からも情報の確認が取れるようにし、搬送先の「ミスマッチ」の解消を図ったという。
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zenjiro]
運用コスト削減効果も
このシステムは昨年春に導入された。システムの活用が進んだ結果、平均搬送時間が
1分短縮、また、救命救急センターへの搬送も前年比で
3.1ポイント減少、さらに、クラウド・コンピューティングの活用などで、年間4000万円の運用コスト削減にもつながったという。
記事は、
「県全体の救急医療の状況を、瞬時に把握できるようになったことが大きい」
との、佐賀県の担当者のコメントを紹介している。
同様のICT(情報通信技術)を利用したシステムは、年内に群馬県や岐阜県も採用する予定だという。消防庁も、今年度内に、
ICTを活用した救急医療の連携に関する実態調査を行う方針
だという。
悪質、タクシー代わりの利用も
消防庁の発表によれば、平成20年の救急出場件数は約510万件。平成10年に比べ、約38%増。現場への平均到着時間は7.7分で、同年比で1.7分長くなっている。
このまま増加を続けると、真に緊急性のある患者への対応が遅れ、延命率に影響を及ぼす。ちなみに、同じ消防庁の発表では、救急車が搬送した人員の実に
50.8%が軽症者であったという。過去、タクシー代わりのように気安く救急車を呼び、搬送を断られると“逆ギレ”して救急隊員に暴行を加えた男性が逮捕され、懲役刑となる事件も発生している。
消防庁では、ホームページにおいて、
「救急車利用マニュアル」の配布も行っている(下部にリンク)。

CB news:「iPad」導入で救急搬送が1分短縮- 佐賀発、全国へ
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/総務省消防庁:救急車の適正な利用について
http://www.fdma.go.jp/html/new/kyukyu_riyou.html「救急車利用マニュアル」
http://www.fdma.go.jp/html/life/kyuukyuusya_manual/SHIKOKU NEWS:増える救急車出動/有料化は必要か
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/306/