通信会社、端末メーカーともに激変の様相
KDDI(au)がAppleのスマートフォン、iPhoneの次期モデルを国内販売することが22日明らかとなり、スマートフォン市場の勢力図がにわかに動き出した。これまでソフトバンクモバイルが独占を築いてきたiPhone。KDDIが参入することで、各所に大きな変化がもたらされることは間違いない。
これまでAppleは2007年のiPhone発売後、「1国1通信会社」の方針をとってきた。日本ではそれをソフトバンクが受けてきたというかたちだ。ところがそこに方針転換があり、8月上旬にはKDDI幹部が米国に飛んでいたようだ。ここで契約交渉が行われたとみられる。
世界中で10月発売予定といわれるなか、KDDIが11月発売と報じられたのは、Appleとの調整のため発売時期が遅れる見通しによるようだ。
KDDIにおける事情
KDDIは、海外メーカー製のスマホ投入に積極的なNTTドコモ、iPhoneを取り扱うソフトバンクに対し、昨年後半まで大きな動きを見せず、スマートフォン市場において、大きな出遅れをとった。国内市場が急拡大していくなか、この遅れは痛い。今回のiPhoneへの積極交渉も、そうした状況が背景にあるとみられる。
ただ、iPhoneの販売は大きな武器になると同時に、Apple側の厳格な販売条件を受け入れることともなり、その面での難しさは残る。今回も事前にこうして発売情報が漏れたことを、情報管理に厳しいAppleが問題視しているという情報もあり、今後の調整で難航する可能性も指摘されている。販売台数や料金面で課される条件の厳しさ、ノルマの厳しさも、KDDIにとってはリスクでもあり、「毒まんじゅうにもなりうる」とみる同社幹部の声もある。
もちろんApple側のお家事情もある。Android陣営との競争が厳しい情勢にあり、それこそが、通信会社の複数確保に方針転換をした第一の理由だ。
国内端末メーカーも影響必至、残るドコモは?
通信会社だけでなく、端末メーカーにとっても、この勢力図変化は大きな影響を与える。いわばとんでもない転校生が来たようなもので、ある程度の影響が出ることは覚悟しなければ、というのが大方の見方だ。
これで大手3社のなかで唯一iPhoneを扱わない状態になるNTTドコモは、独自のサービスの拡充で対抗を続ける考えだという。ただiPhoneについて「魅力的な端末」と山田隆持社長が言及するなど含みは持たせており、今後販売に動く可能性もゼロではないようだ。
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