ネットとリアルの購買を連携
KDDIは13日、米RetailigenceとO2Oプラットフォームの構築で業務提携することを発表した。O2OとはOnline to Officeのことで、ネットの情報とリアル店舗での購買行動を連携させるもののことだ。KDDIは将来の事業化を目指し、まず無印良品やファミリーマートなどが参加する実証実験を行うという。
何か商品を買う時、インターネットの口コミなどを確認してから、実際の店舗で購入するといった経験を持つ人は少なくないだろう。こうしたオンライン上の情報が、オフラインのリアル環境における店舗での購買活動に影響を及ぼすというのがO2Oの概念だ。
今回、KDDIが業務提携したRetailigenceは、一般小売店や百貨店、ブランドなどの企業が持つリアル店舗における商品、およびその在庫や価格等の商品情報を集約し、APIを通じてアプリやウェブサイト、オンライン広告ソリューションなどから活用できるO2OプラットフォームをDaas(Data as a Service)としてすでに提供している。このサービスには、現在約8万店舗が参加、700万件の商品情報を同社は保有しているそうだ。
小売事業者、アプリ運営者、一般消費者、それぞれにお得が
このO2Oは小売事業者、アプリ運営を行う事業者、一般の消費者であるユーザー、それぞれにメリットのあるシステムだ。
まず、小売事業者は、情報を効果的に発信することで、各種アプリなどを通じ、リアル店舗への集客や売り上げ増を見込むことができる。RetailigenceのO2Oプラットフォームでは、POSシステムとのインターフェースも開発されており、クリック一つで商品情報を公開できる仕組みが整っているため、ごく小規模の事業者でも容易に参加できるという良さがある。データ解析ツールも提供しているので、消費者の動向データを得ることもでき、マーケティングやプロモーションへ活かすことも簡単だ。
アプリ運営者は、商品情報を活用・発信することでアプリの付加価値を高めることができる。ユーザーにとってそこにお得な情報があるからだ。
一般ユーザーは、消費者として欲しい商品の在庫や価格、購入できる最寄り店舗など必要な情報をすぐに検索できる。小売事業者とアプリ運営者の連携で商品割引やポイントの付与、クーポン配布などが行われれば、その特典を受けることができ、お得だ。また、得た情報をSNSの友人と共有して楽しむといったこともできる。
将来はオープンなシステム構築へ、現段階は限定実証実験
KDDIでは、将来的には国内でこのO2Oのプラットフォームをオープンなシステムとして構築し、事業化、本格参入したい考えだ。それに向けて、今回はまず限られた参加企業での実証実験を行う。
実験では、まず無印良品ブランドを展開する良品計画が18日から24日まで、同社の「MUJI.net」の会員などインターネットユーザーを実店舗へ誘導する試みを行う。無印良品はこれまでにもTwitterなどで割引クーポンを配信、実店舗での購入を促すキャンペーンを行ったことがある。
今回、とくに新しい点は無印良品を扱うコンビニエンスストア、ファミリーマートへの送客を図ることだ。ここでは、MUJI.netのほかTwitterやFacebookで告知を行い、ユーザーをスマートフォン向けのキャンペーンサイトへ誘導する。そこで最寄りのファミリーマート店舗を検索すると、無印良品の7商品が10%引きになるクーポンIDが発行されるという仕組みになっているという。スマートフォンは全OSに対応し、ファミリーマート対象店舗は関東の約3500店舗。1万人の集客を目標に実施するそうだ。
ほかにもリビングスタイルなどで実験が予定されている。KDDIではこれらの結果を検証し、実際の商用化に向けて検討を進めるとしている。今後の動きも注目だ。
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