緊急大規模災害時の通信網対策で導入を促す
25日、総務省は大規模災害発生時の通信網を確保できるとして注目される衛星携帯電話をより普及させるため、低価格な衛星携帯電話サービスの国内における利用を来春にも認可する方針を固めたという。
東日本大震災で通信回線等が壊滅的な打撃を受けたこともあり、今後の災害対策として、格安の衛星携帯電話を認可し、自治体などへ積極的に導入するよう促す見込みだ。これにより、既存のサービスに比べ、端末価格で4分の1程度、通話料金は半分程度で使える衛星電話が国内にも広がるとみられる。
「IsatPhone Pro」の認可を予定
今回新たに認可されるのは、国際衛星通信機関Inmarsat(インマルサット)による「IsatPhone Pro」(アイサットフォンプロ)だという。静止軌道上の3基の通信衛星でほぼ全世界を通信可能エリアにカバーするもので、格安の衛星携帯電話サービスとして、すでに世界で計約30万台の利用があるそうだ。
端末価格は5~7万円台で通話料金も1分当たり80~100円。国内向けの衛星携帯電話サービスとして、KDDIやNTTドコモ、日本デジコムの3社が公共機関や船舶などに提供するものは、端末価格で最大40万円程度というから、たしかにかなりの格安端末になる。
また、IsatPhone Proは、小型で連続通話も8時間可能、待ち受けで100時間とバッテリー性能が高い点でもすぐれており、コストと利便性が揃っている。
東日本大震災では、緊急で被災地の自治体や消防署などに、特例でこのIsatPhone Proが無償貸与されたそうだが、通信品質や使い勝手の面でも好評で、今後も引き続き導入したいという要望が強かったという。
総務省では技術基準を策定の上、来年3月の電波監理審議会に認可を諮問し、来年度からサービス開始に持ち込みたい方針だ。いざというときにも役立つ通信網の整備は急務であり、幅広く浸透してほしいものだ。

総務省
http://www.soumu.go.jp/Inmarsat
http://www.inmarsat.com/