通信機能搭載ブイで漁場を管理!安定した質・量の生産を可能に
株式会社NTTドコモは10日、セナーアンドバーンズ株式会社およびアンデックス株式会社とともに、漁業従事者の生産性向上と、高品質な水産物の生産を目的に、養殖漁場へICTを導入する実証実験を開始したことを発表した。東日本大震災で被害を受けた、宮城県東松島市にある牡蠣・海苔の養殖漁場で実施する。
この実証実験は、漁場に通信機能やセンサーを搭載した専用のICTブイを設置し、管理者がいつどこにいても、手軽にスマートフォンやタブレット端末から専用アプリで水温管理を行えるようにするシステムを検証するもの。
牡蠣や海苔の養殖においては、水温が生産量に大きな影響を与えるため、適切な水温管理が徹底できるようになると、最適なタイミングでの採苗、育成、収穫が可能になり、高品質かつ安定的な量での生産が見込めるようになるという。
将来は気象データなどとも連携させ全国の漁場にノウハウを提供予定
今回の実証実験では、2016年3月10日から2017年3月31日まで、宮城県漁業協同組合鳴瀬支所研究会、矢本浅海漁業研究会の協力のもと、東松島市内の牡蠣養殖を行う東名漁港の漁場にICTブイを5基、同市内で海苔養殖場がある大曲浜漁港の漁場にICTブイを3基設置する。
NTTドコモが、ICTブイに搭載する通信モジュールと、センサーで取得した水温データを蓄積するクラウドサーバー環境を提供し、セナーアンドバーンズがICTブイの開発と製造を、アンデックスがスマートフォンおよびタブレット端末用の水温管理アプリ開発を、それぞれ担当する。
ICTブイは、搭載する水温センサーと通信モジュールにより、漁場の水温をチェック、1時間単位でデータを取得し、クラウドサーバーへと送信する。サーバーは送られたデータを収集し、クラウド上で蓄積していく。
アプリでは、ホーム画面で直感的に海の状態をリアルタイムに把握できるよう、チェックしたい拠点における現在の海水温、積算温度を表示させる。メニューから、時系列での水温推移を示す表画面、ICTブイの位置が分かる地図を表示するエリア画面、過去データとの比較を行う折れ線グラフ画面などを選択し、表示させることもできる。
アラート機能もあり、設定した水温値を超えた場合には、そのことを事前に登録したメールへ通知して知らせる仕組みとなっている。
3社では今回の実証実験実施により、サービスの有用性と事業性の検証を進め、将来的には日本全国の漁場へノウハウを提供することを視野に、さらなるシステムの開発・改善を行う。現時点では水温のみに対応するが、今後は風向・風速データの取得や、天気予報などの気象情報との連携なども実現させ、アプリから多角的な管理を可能とし、漁業のICT化による未来の養殖漁業実現をサポートしていく方針だ。
(画像はニュースリリースより)

株式会社NTTドコモ ニュースリリース
https://www.nttdocomo.co.jp/info/2016/03/10