「CiNii Dissertations」の試験運用を開始
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下、NII)は24日、日本の博士論文を一元的、網羅的に検索でき、電子化されて公開されている論文については、本文も表示・閲覧できる国内唯一のサービス「CiNii Dissertations(サイニィ ディザテーションズ)」の試験運用を開始したことを発表した。無料で、誰でも利用できる。
「CiNii Dissertations」は、国立国会図書館が所蔵している1923年9月以降の国内博士論文約57万件、国立国会図書館が1991年度から2000年度までに受け入れて電子化した「国立国会図書館デジタルコレクション」約13万件(電子化された本文データを含む)、および各大学の機関リポジトリにおける収録データ合計約13万件のデータを検索できるサービス。
従来、博士論文を利用したい場合には、国立国会図書館や大学の蔵書検索をそれぞれ調べていかなければならなかった。「CiNii Dissertations」により、これらを一括して網羅的に検索できるようになり、加えて本文が電子化され公開されている場合には、自宅などにいながら数クリックで本文まで閲覧・参照可能となる。
正式公開は今年10月から
今回、開発・発表された「CiNii Dissertations」は、NIIによる学術情報検索データベースサービス「CiNii」における3番目の機能となる。既に提供されているものには、論文検索サービスの「CiNii Articles」、大学図書館所蔵資料検索サービスの「CiNii Books」がある。
博士論文は最先端の研究成果が記述された学術的価値の高い資料であり、社会においても広く共有され、活用されていくことが望ましい。2013年3月の学位規則改正により、博士論文は原則としてインターネットで公表されることとなり、大学などは学術機関リポジトリを通じ、これを公開するようになっている。
NIIは研究と事業を活動の両輪としており、学術コンテンツに新たな価値を付けて社会へと発信する、オープンな次世代学術コンテンツ基盤の構築を進めている。「CiNii」における取り組みもその一環だ。
今後NIIでは、「CiNii Dissertations」について、システムやデータの機能・精度を向上させ、今年10月にも正式公開、サービスの提供を開始する予定としている。
(画像はニュースリリースより)

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 ニュースリリース
http://www.nii.ac.jp/userimg/press_20150624.pdfCiNii Dissertations
http://ci.nii.ac.jp/d/