凸版印刷と唐招提寺でデジタル化、一度に鑑賞できる!
奈良県の律宗総本山唐招提寺と、凸版印刷株式会社は20日、唐招提寺の開祖である鑑真和上の半生を描いたとされる重要文化財「東征伝絵巻」全5巻の完全デジタル化を完了した。取得したデータをもとに、全体を一度に鑑賞することができるデジタル絵巻コンテンツ『東征伝絵巻 鑑真和上 辛苦の旅路と信念を描く』を作成、10月21日から11月3日まで、唐招提寺の新宝蔵で特別公開を行っている。
「東征伝絵巻」は、全5巻、のべ83メートルにも及ぶ絵巻。日本からの要請を受けた唐の名僧である鑑真和上が苦難を乗り越えて日本へ渡航し、仏教の戒律をもたらした半生を伝えるもの。奈良時代に大和上の伝記「東大和上東征伝」をもととし、鎌倉・極楽寺の僧であった忍性が制作を発願、唐招提寺に奉納したとされる。以来今日まで、鑑真和上が自ら建立した唐招提寺で大切に保管されてきた。
貴重な絵巻を美しい状態で誰でも存分に鑑賞できるチャンス!
今回この絵巻について、凸版印刷が開発した文化財専用の大型オルソスキャナーで、高精細にデジタルアーカイブ化を実施。全体を97分割してデータを取得した。
大型オルソスキャナーは、テレセントリックレンズと呼ばれる特殊なレンズを用いたスキャナーで、被写体と光学系の距離が変化しても像の大きさを変化させることなく、精確で鮮やかな色彩、歪みのない正射投影画像を取得できる。文化財に対して熱などのダメージを与えることなく、均一に照らし出せる照明システムも搭載されている。
この専用スキャナーで得られたデータをつなぎ合わせ、凸版印刷のVR技術を活用して作成したのが、特別公開されているデジタル絵巻コンテンツだ。
デジタル化により、通常の展示では難しかった、貴重な絵巻の全体を一度に鑑賞することが可能となっているほか、任意の場面を選択したり、拡大したりして見ることも可能となった。テキスト情報や地図情報といったコンテンツを重ねて表示させることもでき、デジタルならではのスタイルで、より深くその世界観を知ることができる。
期間中は、唐招提寺境内の新宝蔵に設置した140インチスクリーンに超短焦点4Kプロジェクタでデータを投影し、コンテンツの上演を行う。時間は9:00~16:30の予定で、入蔵料は大人・大学生が200円、高校生・中学生・小学生は100円。なお、入蔵には別途唐招提寺拝観料も必要となる。
(画像はニュースリリースより)

律宗総本山唐招提寺/凸版印刷株式会社 ニュースリリース
http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease151020