シャープが開発成功を発表、新体験の決済・認証
シャープ株式会社は5日、透明なNFC(Near Field Communication・近距離無線通信)アンテナを搭載したディスプレイの開発に成功したことを発表した。ディスプレイと別になったリーダーが不要になり、決済や認証などのシーンでかざして実行する通信がより直感的に利用しやすくなると考えられている。
NFCは、国際標準規格として認証された、数センチ程度の短い距離間で無線通信を行うもの。スマートフォンや交通系ICカードなどを中心に導入が進んでおり、専用リーダーにかざして決済や本人認証を行う仕組みが活用されている。昨今はNFC対応のクレジットカードも登場するなどしており、今後さらなる活用用途の拡大と普及・浸透が見込まれる。
簡単に必要な通信が実行でき、シェアリングエコノミーなど注目領域における認証ニーズにも応える技術であるため、社会インフラとしての定着が予想されるが、これまでの方法では表示ディスプレイと対応リーダーを別々に配置する必要があり、その分のスペース確保が必須であったほか、いつ、どこに端末やカードをかざせばよいか、ユーザーが分かりにくく迷ってしまうといったケースもあった。
今回開発されたディスプレイはそうした課題を解消、ディスプレイ本体が表示性能を損なうことなく、NFCリーダーの機能も果たせるようになっている。
複数の端末やカードとの一斉通信も可能
ディスプレイ表面に光透過率80%以上を確保したアンテナ層を配し、スマートフォンやICカードを直接ディスプレイの表示場所にかざすことで通信が行えるようにした。
ディスプレイのみの省スペースで導入できるメリットに加え、画面上で文字やイラストにより、かざす位置やタイミングを分かりやすく指示したり、通信結果を表示で知らせたりすることが可能になることから、よりストレスなく直感的に誰もが利用できるユーザーインターフェースを実現させられるというメリットがある。
光透過率はサイズやアプリケーションによって変動するというが、画面を見るユーザーにはほぼ透明に感じられ、表示が見づらくなるといったことはない。1対1の通信だけでなく、一度に複数の端末やICカードと通信を行うこともできるとされ、より幅広く柔軟な用途での活用が期待される。
シャープでは、この透明NFCアンテナ搭載ディスプレイを、POSターミナルや自動販売機などの決済シーンはもちろん、オフィスや教育機関、医療機関といった場での個人認証シーン、さらにゲームなどアミューズメントシーンなどにも提案していく方針とし、新たなユーザー体験を生み出す革新的ディスプレイとして価値を創造していきたいとした。
(画像はプレスリリースより)

シャープ株式会社 ニュースリリース(プレスリリース)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/180405-a.html