VR空間を個別構築、デバイスとセットで提供
日本電気株式会社(NEC)は7日、法人向けのバーチャルリアリティ(VR)技術活用ソリューションをパッケージ化し、「法人VRソリューション」として体系化、販売を開始したことを明らかにした。法人ユーザーのニーズに応え、個々に合ったVR空間を構築、ヘッドマウントディスプレイなどの機器とセットで提供する。
近年、主にエンターテインメント領域でVR技術の活用が進み、2020年には8兆円の市場規模にまで成長すると見込まれている。今後はエンターテインメント領域以外でも、VRの活用・浸透が進むとみられ、とくに法人向けでは業務システムと密接に結びついた活用、VR空間の個別構築ニーズが高まっていく可能性が高い。
そこでNECでは、法人向けのVR技術活用ソリューションを「法人VRソリューション」としてまとめ、VR空間の構築と必要機器を組み合わせて600万円程度から提供することとしたという。
2週間から使える“お試しパック”も用意
NECでは、提供するVRソリューションについて、4つのカテゴリーにおける活用を想定している。1つ目は、VR空間での作業フロー訓練・習得を図るトレーニング用途で、工場生産ラインにおける梱包作業トレーニングや、危険の伴う消火作業、伐採作業といった、よりリアルな場での経験を積むことで身につけられる熟達したスキルが必要な分野で活用してもらう。
2つ目はシミュレーション用途で、VR空間で作業や操作時にかかる負荷状況を確認し、評価する目的で使用するものだ。具体例としては、向上における作業者のユーザビリティを把握し、最適なレイアウトを決める際のデータとして活用することが挙げられている。
3つ目は、複数の離れた拠点から同じVR空間にログインすることで、従来のTV会議では実現が難しかった“経験”の共有を可能にする使用法だ。遠隔地同士で同時にログインし、作業内容を確認したり、スタッフ教育に用いたりといった活用が考えられている。
4つ目はセールスプロモーションでの活用で、VRを用いることにより、その場で実物を見せることが難しい大型施設や製品、周囲の環境・景色などを再現して分かりやすく訴求。ホテルの施設紹介や、アトラクション要素の高い体験型ブース提供での活用などが可能とされている。
NECでは、VRの導入を検討する法人向けに、VR対応PCとヘッドマウントディスプレイ、モーションコントローラといった一式を有償で貸し出す「VRお試しパック」も用意、提供を開始した。こちらの価格は2週間で5万円からと、より手軽に利用できる。
「VRお試しパック」では、上記の各活用用途について、工場ラインでの梱包作業、森林伐採体験、システムキッチンの高さや色などのカスタマイズ体験、オフィスやショールームの360度画像のサンプルコンテンツを無料で貸し出してもらうこともできる。
さらに導入検討企業が自社で保有する3D CADデータをインポートした状態で貸し出すサービスもオプションで提供するといい、実際にソリューションとして採用する前の、簡便かつスピーディなVR体験・評価に利用できるサービスを整えている。
NECでは現在、社会ソリューション事業への注力を進めており、こうしたVR関連ソリューション・サービスの提供を通じて、企業の安全・安心なシステム運用や経営効率化に寄与していきたいとした。
(画像はプレスリリースより)

日本電気株式会社 プレスリリース
http://jpn.nec.com/press/201610/20161007_01.html