IDやパスワードの登録なしでデータ連携を実現する新サービスを発表
株式会社日立製作所は23日、金融機関のシステムと、個人資産管理サービスや会計サービスなどをはじめとしたFinTechサービスのセキュアなデータ連携を実現する「金融API連携サービス」を発表、国内の金融機関向けに26日より販売をスタートさせるとした。
このサービスを利用すれば、インターネットバンキングのIDやパスワードといった秘匿性の高い重要な個人認証情報をFinTechサービス上に登録することなく、預金口座残高や入出金明細といった必要なデータのみをFinTechサービス企業とやりとりすることが可能になり、セキュリティ面からの課題解消と利便性向上を同時に図れるという。
近年、主にクラウド型サービスとして、複数の口座残高やポイントなどを一元管理できる個人資産の管理サービスや、企業における財務・会計業務をサポートする会計サービスなど、多彩なFinTechサービスが生まれ、注目を集めている。
こうしたFinTechサービスと口座データとの連携は、これまで主に金融機関のインターネットバンキングサービスにおけるWebページHTMLデータを解析して読み取り、必要情報を抽出、加工・登録して連携するWebスクレイピング方式が採られてきた。しかし、この方式の場合、ユーザーがインターネットバンキングサービス用のIDやパスワードといった情報をFinTechサービスに提供、登録しなければならず、セキュリティ面を不安視する向きもあった。
また、インターネットバンキングシステムからFinTechサービスへと転送するデータ量が増大し、システムへの負荷が必要以上にかかるほか、FinTechサービスを提供する企業側には、各金融機関のインターネットバンキングサービスにおける画面使用が変更されるたびに、一時的なデータ連携停止、メンテナンス作業の必要性が生じるなど、ユーザーにも影響が及ぶ不便さと手間が発生するという問題があった。
誰にとってもメリットのある安全で便利な連携を実現
今回、日立製作所が発表した「金融API連携サービス」は、こうした課題を解消する。まずIDやパスワードといった認証情報をFinTechサービスに登録する必要がないため、金融機関はユーザーが安心して利用できるセキュアなデータ連携機能を提供できるようになる。
また、金融機関とFinTechサービス提供企業の間では、各FinTechサービスの内容上必要なデータのみをやりとりするかたちになることから、システムにかかる負荷を大幅に軽減することもできる。
さらに、インターネットバンキングの画面仕様変更が行われても、データ連携は保たれ、継続的に機能を提供できることから、ユーザーにおける利便性の高さと、FinTechサービス提供側のメンテナンス作業にかかる手間をなくすことが可能となる。
提供にあたっては、国内金融機関向けの「銀行API連携サービス」と、日立製作所が提供するインターネットバンキング共同センタサービス「FINEMAX」に加盟する金融機関向けの「FINEMAX API連携サービス」の2種を用意する。
「銀行API連携サービス」では、普通預金口座の口座情報を、「FINEMAX API連携サービス」では、インターネットバンキングの契約者IDに紐づいた普通預金、定期預金、外貨預金などの口座情報を、参照できるようになる。「FINEMAX API連携サービス」では、個人向けのほか、投資信託向け、法人向けサービスもサポートする。
なおサービスの提供開始時期は、2017年2月(「FINEMAX API連携サービス」の法人向け「法人IB API連携サービス」のみ2017年3月)を予定し、価格は個別見積もりになるとされている。
(画像はプレスリリースより)

株式会社日立製作所 ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/2016/09/0923