パイオニア、既販売車にも搭載可能な先進運転支援システムを開発
パイオニア株式会社は25日、デジタル地図を活用した独自の先読み技術をベースにクラウド型の「事故リスク予測プラットフォーム」を構築、常時通信型の専用IoTデバイスと連携させることで、車を運転する際の高レベルな予防安全を実現させる先進運転支援システム「Intelligent Pilot」を開発したと発表した。すでに販売されて個人の手に渡った一般車にも簡単に搭載することができ、先端技術を活かした、より安全な車社会の実現を目指す。
昨今、自動ブレーキをはじめとした先進運転支援システムを搭載した新車が増加しているが、大多数を占める既販売車については、事故の発生を未然に防ぐ安全運転支援システムを手軽に導入するソリューションがほとんどなく、社会レベルの安全性向上に寄与するシステムの普及をいかに進めるかが課題となっている。
この課題を解消するには、ドライブレコーダーなどから得られるセンサーデータやカメラ映像などを活用した事故実態の把握、情報分析による予防安全や緊急通報システムに対応した運転支援システムを、既販売車であっても簡単に導入・利用できるようにすることが重要だ。
今回、パイオニアが開発した「Intelligent Pilot」は、そうした発想に基づくデバイスとクラウドサービスによるシステムとなっている。
「事故リスク予測プラットフォーム」は、信号やカーブなどのデジタル地図属性データに、事故発生地点データやパイオニアに蓄積されているプローブデータから得られた、ヒヤリハット事例につながる「急減速多発地点データ」などを組み合わせ、さらに天候や時間帯、災害情報、車両の走行速度や運転傾向などまで考慮し、統合的に事故や危険を前もって予測するクラウド基盤。
事故削減に効果の高いリスク地点情報を優先的に配信し、ドライバーの状況に合わせながら、適切な場所・タイミングで注意喚起や警告を行えるようにしている。
東京海上日動での採用が決定、普及に期待
車両に取り付ける専用デバイスは、後付可能なタイプとして開発することで、既販売車への搭載も容易にした。デバイスは単体でNTTドコモのLTE回線に常時接続、通信するモジュールを搭載しているため、最新ソフトウェアへの自動アップデート、データ通信を用いた音声通話や映像、各種センシングデータを活かしたリアルタイム提供の多様な次世代テレマティクスサービスに対応できる。
また広角車載フロントカメラを内蔵しており、撮影した画像を独自の画像解析技術で分析することにより、危険な走行状況を検知して、画面表示と音声で警告を発する安全運転支援機能も実現させた。カメラは前方の様子を撮影・記録するドライブレコーダーとしても使用でき、衝撃を検知すると自動で前方画像の録画を実行、通信機能を活かしたクラウドサービスとの連携も可能で、スムーズなトラブル対応も実現できるとしている。
ドライバーへの注意喚起は、本体に搭載した2インチ液晶ディスプレイとスピーカーで行うものとし、誰にとっても分かりやすい案内となるよう工夫された。GNSS(全地球型測位システム)による精度の高い自車の現在位置把握も可能なほか、ジャイロ/加速度センサー、デジタル地図を内蔵する。
このクラウド基盤と常時通信型IoTデバイスによるシステムは、2017年4月より東京海上日動火災保険株式会社が提供するノンフリート(個人)向け自動車保険「ドライブエージェント パーソナル」に採用されることが決定した。
車内に設置したデバイスが、強い衝撃を検知すると、コールセンターへ自動で事故連絡が行われる。また運転中の自動録画のほか、画像認識による警告や事故リスクの高い「危険地点接近警告」などを行い、事故の発生防止を支援していくという。
パイオニアでは、東京海上日動との協業でテレマティクスサービスの拡張開発を進めていくほか、今後さらにさまざまな自動車関連サービス事業者の独自サービスと連携させることで、交通事故の削減に取り組んでいきたいとし、海外での事業展開も視野に、幅広くシステムの活用提案を行っていくとしている。
(画像はプレスリリースより)

パイオニア株式会社 ニュースリリース
http://pioneer.jp/corp/news/press/2016/pdf/1125-1.pdf