ソラコム、IoT通信PFにHLRを独自実装・eSIM提供を開始

株式会社ソラコムは11日、同社の提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」に加入者管理機能（HLR）を実装し、組み込み機向けの「eSIM」提供も開始した。データ通信サービス「SORACOM Air for セルラー（グローバル向け Air SIM）」で提供される。

加入者管理機能（HLR）は、SIMカードに紐付けられている加入者情報識別子や電話番号などの加入者データを管理する機能。この加入者管理・認証基盤をソラコムが独自で開発し、サービスに実装したことで、回線の開通や停止を、ユーザーがWebコンソールやAPIからコントロールできるようになった。IoT／M2Mにおけるユースケースで、通信資源を必要な時に必要なだけ、簡単に使える仕組みが実現される。

これまでの「SORACOM Air for セルラー（グローバル向け Air SIM）」では、一度通信を開始すると、データ通信を行わなくとも基本料金が発生していた。しかし、今回の機能実装で、データ通信を行わない期間に設定すれば、回線基本料金が無料となる「利用開始待ち」ステートと位置づけられる。

IoTデバイスにSIMを組み込んで販売したい場合などに、いったん出荷前検査として工場などで通信を開始したとしても、この「利用開始待ち」ステートを用いれば、エンドユーザーの利用開始まで通信を実行せず、基本料金なしで保持、在庫期間中や利用中断中に無駄なコストを発生させなくて済むようになった。

サービスは新料金体系の「plan01s」、「plan01s-Low Data Volume」の2プランで提供され、「plans」は使用中1日あたり0.06米ドル、「plan01s-Low Data Volume」は月あたり0.4米ドル。再開時は1回あたり1.8米ドルのアクティベーション料金で、「使用中」ステートへと切り替えられる。

IoT／M2Mプロダクトで、それぞれの利用環境に最適なSIMを選択して採用できるよう、従来のカード型に加え、デバイスへの組み込みが可能な「Embedded SIM（チップ型SIM）」もリリースした。今後、GSMAの定めるM2M向け「Remote Provisioning Architecture for Embedded UICC version 3.1」に準拠したeSIMの受付を開始する予定という。

eSIMはMFF2と呼ばれる、5×6ミリとごく小さいサイズのICチップにSIM機能を搭載しており、デバイスに組み込んで利用できる。このチップ型SIMの場合、電子基板上へと直接組み込むため振動などに強く、車載製品や工業製品などに最適とされる。1枚あたり6米ドルで3,000枚から提供する。

少量から調達可能なリファレンスデバイスとして「UC20-G（LCC）」が用意されており、チップ型SIM同様、基板に実装するタイプのグローバル対応3G通信モジュールが250個単位で購入可能ともなった。こちらは1パック29米ドルだ。

先述の新料金体系と組み合わせて用いれば、より柔軟なかたちでデバイスを開発、生産し、それぞれの環境に合わせたSIMを選択、基板上にSIMを実装して、無駄なコストをかけることなく、顧客へと安定的に提供する仕組みを構築できるとしている。

（画像はプレスリリースより）




株式会社ソラコム　プレスリリース（全般について）
https://soracom.jp/press/2017101101/

株式会社ソラコム　プレスリリース（新料金体系について）
https://soracom.jp/press/2017101102/

株式会社ソラコム　プレスリリース（チップ型SIMについて）
https://soracom.jp/press/2017101103/