開発者に開かれたディープラーニングの「Gluon」
米Amazon.com傘下のAmazon Web Services Inc. (AWS)と米Microsoft Corp. は米国時間の12日、新たなディープラーニングライブラリ「Gluon」を開発、オープンソースでの提供を開始すると発表した。Apache License 2.0でGitHubにおける公開がスタートしている。
「Gluon」は、あらゆる開発者がクラウドや各種デバイス、モバイルアプリに機械学習技術を活用し、プロトタイプを試作、アイデアをかたちにしてシステム構築を行うほか、学習トレーニングを重ねる仕組みを容易に入手できるようにするもの。AWSの機械学習フレームワークである「Apache MXNet」上で動作する仕様となっている。
また、Microsoftはディープラーニングライブラリの「Microsoft Cognitive Toolkit(CNTK)」をすでにリリースしているが、今後の更新で「Gluon」はこの「CNTK」もサポートするものとなる。
「Gluon」のインターフェースを用いることで、開発者はさまざまなニューラルネットワークのすでに構築・最適化されたコンポーネントと「Python API」をベースに機械学習モデルを構築できるようになるため、シンプルかつ簡潔なコードを使った、パフォーマンスを犠牲にすることのない開発を進められるようになるという。
トレーニング期間も短縮!機械学習技術が身近に
これまでの機械学習モデルでは、その複雑性からトレーニングに数日から数週間といったまとまった期間が必要となっていたほか、アルゴリズムの事前定義段階から、変更の難しい長く難解なコードを使いこなさなければならず、構築・導入・開発における負担が大きいという問題があった。
「Apache MXNet」、「Microsoft Cognitive Toolkit」、「TensorFlow」といったエンジンは、トレーニングプロセスの最適化と効率化を実現しているが、高度な技術力を必要とする。一方、より単純なディープラーニングツールは、モデル構築が簡単な分、トレーニングパフォーマンスを犠牲にしてしまいがちといった状態だ。
これに対し「Gluon」は、開発者がニューラルネットワークモデルを素早く試作し、実験できる、簡潔で分かりやすいプログラミングインターフェースと、基礎になるエンジンのスピードを低下させないトレーニング手法の両方を提供、従来の課題を解消するとしている。
開発者は「Gluon」インターフェースを用い、その場でニューラルネットワークを作成、サイズの動的変更や、アルゴリズムとネットワークモデルの組み合わせで1ステップ単位のモデルトレーニングを実行するといったことが可能になる。これによって、ニューラルネットワークのデバッグや更新、再利用がはるかに容易に行えるようになるという。
AWSとMicrosoftでは、機械学習技術について、今後の世界のあり方を変える能力をもったきわめて重要なものであり、その開発に必要とされる適切なツールは広く提供されるようにならねばならないとし、そのために開発したのが「Gluon」だと説明、今後も使いやすく充実したライブラリとなるよう「Gluon」を進化させていくとした。
(画像は「Gluon」公式サイトより)

Amazon Web Services Inc. /Microsoft Corp. プレスリリース
http://phx.corporate-ir.net/GitHub 「Gluon」提供ページ
https://github.com/gluon-api/gluon-api/「Gluon」 公式サイト
https://mxnet.incubator.apache.org/gluon/