凸版印刷とNTTドコモが「IoA仮想テレポーテーション」を発表
凸版印刷株式会社と株式会社NTTドコモは6日、東京大学大学院情報学環暦本研究室とのIoA(Internet of Abilities)に関する共同研究の成果をベースに、「IoA仮想テレポーテーション」技術を開発、同技術のプロトタイプ実証実験を行うと発表した。実験のもようは、NTTドコモが11月9日~11日に日本科学未来館で開催する展示イベント「見えてきた、“ちょっと先”の未来~5Gが創る未来のライフスタイル~」のブースで公開する。
「IoA」は暦本研究室の暦本純一教授により提唱された未来社会基盤の概念で、人間とテクノロジー・AIが一体化し、時間や空間によってもたらされる制約を超え、互いが能力を強化するネットワークを指す。
今回、発表された「IoA仮想テレポーテーション」を用いると、自由に外出することが難しい高齢者や身体の不自由を抱える人も、旅先にいる家族とともに遠隔観光体験を楽しむといったことが可能になるほか、スポーツ観戦やコンサート鑑賞も、より臨場感あふれるスタイルで楽しめるようになる。遠隔就労の用途で活用することも想定されており、働き方改革や人手不足の解消にも寄与する可能性がある。
分身ロボットを現地に、リアルの本人と双方向でやりとり
「IoA仮想テレポーテーション」には、NTTドコモが2020年の実用化を目指す第5世代移動通信方式(5G)を用いる。このほか、360度の高解像度映像やロボット技術が応用されている。
まず4K360度カメラ搭載の遠隔操縦ロボットである「分身ロボット」を現地に派遣し、体験者本人が実際にいる遠隔地の「伝送ルーム」とつなぐ。現地と「伝送ルーム」はリアルタイムに双方向でのコミュニケーションが可能で、体験者がルーム内でとった動きと現地の「分身ロボット」の動きが自動的に同期される。
これにより、遠隔地の分身ロボットを通じてその場所に自分が存在するかのような疑似体験が実現されるとする。「分身ロボット」のディスプレイには、体験者の身体が投影され、対面者にもその存在が強調されるといった特徴もある。
実証実験では、「分身ロボット」とWebRTC、大型伝送ルームを用い、ロボットに取り付けた360度カメラで周辺空間情報データを収集、WebRTC技術によるネットワークを経由させて、会場内に設置した伝送ルームのスクリーンに送信し、ロボット視点の仮想空間をリアルタイムで作り出す。
伝送ルーム内の人物の様子を、遠隔地にある分身ロボットのディスプレイに反映させ、仮想的なテレポーテーションを実現させる。こうしてつながった2地点のやりとりを、5Gネットワークにより高精細かつシームレスな、全く新しい臨場体験として来場者に試験提供するとしている。
この実証実験の成果を踏まえ、凸版印刷は今後、メーカーやサービス業、教育機関、博物館、流通向けに、IoA中核技術と自社のソリューションを組み合わせた新ソリューションの提供を段階的に開始させていく方針だ。
またNTTドコモは、IoA技術などの新技術で実現可能となる新サービスを支えるプラットフォームとして、5Gの研究開発をさらに推進するとした。
(画像はプレスリリースより)

凸版印刷株式会社/株式会社NTTドコモ プレスリリース
https://www.nttdocomo.co.jp/