MNO事業着手を目指し申請を行うと決議
楽天株式会社は14日、同日開催の取締役会で携帯キャリア事業への新規参入を目指す方針を決議したと明らかにした。第4世代携帯電話システム(4G)用周波数(1.7GHz帯及び3.4GHz帯)について、総務省が割当受け付けを開始次第、申請を行うとしている。これにより、自社で基地局や通信網を整備、サービスを提供する携帯キャリアとなり、NTTドコモ、au、ソフトバンクに続く“第4の携帯会社”誕生へ準備を進めることになる。
楽天では、近年の一般生活者におけるモバイルシフトの急速な波を受け、展開するサービスのモバイルファーストを進めているほか、2014年10月より「楽天モバイル」ブランドのもと、MVNO事業を手がけてきた。格安スマホとしてのお得感や多彩な端末ラインナップ、「楽天スーパーポイント」を用いた通信料の支払いなどで他社との差異化を図り、現在は契約者数140万超を誇る業界トップのシェアをもっている。
今回は、このMVNOではなく、MNO(Mobile Network Operator・移動体通信事業)に着手する。総務省では、増大し続けるモバイルトラフィックに対応するため、割当周波数の拡大を図るべく、4G向け周波数の追加割当を2018年にも実施することを予定している。楽天は、ここに新規事業者として名乗りを上げ、事業の開始を目指す方針だ。
既存事業とのシナジー発揮で魅力ある存在に
MNO事業の開始にあたっては、新規に会社を設立する予定で、2019年中のサービススタートを見込んでいる。1,500万人以上のユーザー獲得を当面の目標とし、携帯電話基地局の設置工事などにかかる設備投資として、資金調達も実施するという。
資金調達の主体は楽天と新規設立の該当子会社で、全額銀行借入などの有利子負債で行う予定。サービス開始時点では調達残高約2,000億円となり、2025年には最大の6,000億円となるが、その後は逓減していくことを想定している。
楽天では、全国に基地局展開を行い、キャリアとして独自にサービスを提供する事業者となれた場合、MNO事業がグループ全体の成長に向けた新エンジンとして機能、Eコマース、FinTech、デジタルコンテンツ、モバイル通信などの多岐にわたるサービスを包括的に提供できる、世界でも類を見ないユニークな事業者になると説明している。
また、高い効率性で、より低廉な利用しやすい携帯電話料金を実現させるほか、既存の各サービスで築いてきた分厚い顧客基盤、「楽天スーパーポイント」、オンラインショッピングやストリーミングサービス、動画広告などのリッチコンテンツ、革新的で利便性の高い決済手段などを組み合わせ、シナジー効果を発揮させた魅力の高いサービス提供を進めていきたいとしており、今後の動向が注視される。
(画像は楽天ホームページより)

楽天株式会社 プレスリリース
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