保険のカリスマへインタビュー
皆さんはライフネット生命保険の岩瀬大輔副社長をご存知だろうか。彼の業績としては、生保で日本初の個人向け就業不能保険(ディサビリティ)『働く人への保険』の販売開始や、新書『生命保険のカラクリ』のインターネット上における全文無料公開などがある。
今回は彼へのインタビュー結果の第2弾として、全文無料公開に踏み切った理由についてまとめてみようと思う。(以下一部、
マイコミジャーナルより引用)
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新書の出版
3月1日から4月15日までの期間限定で、新書『生命保険のカラクリ』の文藝春秋のサイトでの全文無料公開に踏み切った理由はなんだろうか。
岩瀬副社長の新書『生命保険のカラクリ』は、1人でも多くの人に生命保険の仕組みをきちんと理解してもらいたいという理由で執筆したそうだ。岩瀬副社長としては、最初から無料ダウンロードをやりたかったと言うからすごい。
同著の売れ行きが好評で、出版社から更なる販促の相談があった時、広告や講演会の話には目もくれず、無料でのダウンロードを自分から持ちかけたそうだ。
出版社の反応
立ち読み機能ならまだしも、全文無料公開など聞いたことがない。出版社の反応はどうだったのだろうか。岩瀬副社長はこう語る。
文藝春秋は伝統ある大手出版社で、このような取り組みをしていませんでした。電子書籍についてはどうなるか分からず、調査研究をしている真っ只中なので、もう少し調べてからやりたいというのが出版社側からの最初の反応でした。
ですが、私は机上の空論で調べてもあまり意味のある計画を立てられない、実際に一回やってみることで学びが豊かになるので、これを第一弾としてはどうだろうかと逆に提案しました。幸いどこの出版社でもこのような試みをしていませんでしたから、第一弾として話題にもなりますし。文藝春秋側としてもベンチャースピリットで果敢に取り組まれたと思います。
結果と分析
結果は好評であった。開始から2週間で5万ダウンロードにまで迫ってきている。本の3万部に対し、1.5倍は読まれている計算になる。売り上げも順調に推移しているという。
そんな成果の中、いろんな学びもあったそうだ。それは、「本を買うとき、我々は何に対して対価を払うのか。」という問いである。本にはコンテンツや字面以上のどんな価値があるか、つまり、図書館や立ち読みとしての本ではなく、また、iPhoneアプリなど、低額電子書籍とも違うどんな価値があるのか、ということである。
岩瀬副社長の結論としては、それは持ち運べる便利さ、段組みやフォーマットの読みやすさ、きちんとした流通経路に乗って知ってもらう優位性などがある。実際今回寄せられた意見の中に、「PDFだと読みづらいけど、面白そうだったので本を買ってみた」という人もいたようだ。
岩瀬副社長はこのインタビューの結びの言葉としてこう語った。
漠然と支払っていたものへの対価は何なのか、今回の無料ダウンロードで浮き彫りになったような気がしています。
これは生命保険業界にも同じことが言えて、保険の手数料が分からないまま支払っていた時代から、対面サービスというものが何に対して対価を払っているのか問われることによって、本当に価値のあるものしか生き残れない世の中になってくるのではないかなと思います。

ライフネット生命保険
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