保険のカリスマへインタビュー
皆さんはライフネット生命保険の岩瀬大輔副社長をご存知だろうか。彼の業績としては、生保で日本初の個人向け就業不能保険(ディサビリティ)『働く人への保険』の販売開始や、新書『生命保険のカラクリ』のインターネット上における全文無料公開などがある。
今回は彼へのインタビュー結果の第一弾として、新商品の開発経緯についてまとめてみようと思う。(以下一部、
マイコミジャーナルより引用)
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新商品『働く人への保険』の発売理由
日本発の個人向け就業不能保険の販売開始理由について、岩瀬副社長の言葉をまとめると2つの大きな要素が見えてくる。それは、保険業界と日本社会、その2つの変化に非常に目ざとかったこと。そして、消費者レベル、もしくは現場での根気強いヒヤリングである。
確かに、バブル崩壊前後では、日本人の生命保険への見方は大きく変わってきた。一家の大黒柱にもしものことがあったらと、死亡保障はとても重要な存在で、また、所得や金利を見ても、高額の生命保険に加入して、貯蓄性をつけるメリットも十分にあった。
それに対し今の状況は、女性は社会進出し、夫への依存度が低くなった。また低金利・低賃金の状況で、生命保険への出費は抑えたいと考える家庭が多い。こうした流れを受け、生命保険業界でも10年ほど前から、死亡保障から生存保障へのシフトがはじまり、第三分野と呼ばれている医療保障が伸びてきたそうだ。
実際、医療保険の平均支払い金額は入院給付金で10万円程度なのに対し、年間4~5万の保険料をかけることになる。それがどれだけ必要なものなのか、消費者の観点で問い直したのが、岩瀬副社長である。「前述のように給料が少なくなってきていますから、レバレッジが大きいもの。掛け金に対する払われる給付金の倍率が高いものがいいと思うわけです。」と同氏は述べている。
消費者・現場の声を商品に
このような環境の変化がある中、新しい商品を考え続けた岩瀬副社長。たくさんの顧客から話を聞き、マーケットの声にも耳を傾ける。同時に、現場の声も吸い上げるべく、病院の関係者に話を聞いた。岩瀬副社長本人に語っていただこう。
特に、気の毒だと思う患者さんはいなかったか尋ねると、何人か例をあげてくれました。
1人は、三十代後半の独身女性。がんにかかってしまい、働きながら通院して治療していました。自己負担は5~6万円で収入があるうちはなんとか払えたのですが、治療が長期化して体にとても負担がかかるので、仕事をやめざるをえなくなってしまいました。仕事をやめても自己負担は毎月かかります。働いてれば制度内の自己負担額で支払えるのに……とおっしゃっていました。
日本発の就業不能保険の販売へ
上のような例を耳にし、働けなくなるリスクがどれほど大きいかということに注目したそうだ。この保険、非常に反響があり、問い合わせも申し込みも伸びている。
特に大手や外資系の保険会社など、プロの間で反響が大きく、彼らもいろいろと調べているようだが、前例がないことから、初めて挑戦することへ不安があるようだ。最後に一言、ライフネット保険の岩瀬副社長の言葉を紹介したいと思う。
「我々はベンチャーですから、これまで誰もやらなかったけど、世の中が必要としていることに挑戦しなければならないと思いますので一足先に商品販売に踏み切りました。」
確かに、いろいろな要素が日本発の保険を生み出したが、一番大きいのはまさに彼のベンチャー精神ではないだろうか。

ライフネット生命会社
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