AGRIST、「みどりの食料システム戦略」推進へ
AI搭載の自動収穫ロボットによるスマート農業の提案など、テクノロジーによる農業課題の解決を目指すスタートアップ、AGRIST株式会社(以下、AGRIST)は5月1日、AIロボットによるスマート農業による知見と、宇宙からの衛星データ活用を組み合わせた、革新的農業システムの研究開発を開始したことを明らかにした。
国が重要戦略として打ち出す「みどりの食料システム戦略」の実現に貢献するもので、中でも農薬使用量を可能な限り低減、環境負荷を大幅に減らしつつ、持続可能とするデータ駆動型農業の確立を図るとしている。
AGRISTでは「テクノロジーで世界の食糧課題を解決し、100年先も続く持続可能な地球を実現する」ことを企業ミッションに、AIロボット技術を通じた農業生産性の向上と労働力不足の解消に取り組んできた。その実績は農林水産大臣賞など国内外20以上の賞を受賞するなど、すでに高い評価を受けてきている。
国の「みどりの食料システム戦略」は、日本の農業や林業、水産業を持続可能なものへと転換し、生産力向上と持続性の両立をイノベーションによって実現することを目標としている農林水産省主導の政策。
地球温暖化や環境負荷の増大といった課題に対応し、2050年までには化学農薬の使用量を50%削減、化学肥料の使用量を30%削減、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積を25%(100万ha)に拡大するといった具体的目標も掲げられている。スマート農業の推進は、この戦略実現に向けた重要な柱のひとつとなっている。
成育状況やリスクを俯瞰的かつ早期に把握、速やかに反映させる農業へ
AGRISTが今回、新たに研究開発を始めるシステムでは、同社が強みとする圃場レベルでの精密なAI分析やロボット制御技術に、衛星データで得られる広域かつ多角的な情報を統合させる。
衛星データからは、地表面の温度や植生指数、土壌水分量、気象パターンなど、農業において重要な情報を継続的に取得でき、これを活かすことで作物の成育状況、病害虫リスク、土壌の状態といったものを俯瞰的かつ早期に把握できるようになると見込まれている。
システムでは、この衛星データによる情報をAGRISTのAIに解析させ、各圃場のAIロボットへとフィードバックしていく。そうしてデータ駆動型農業を実現させるという。
衛星データによる圃場全体の成育状況と、現場ロボットによる個々の作物にかかる詳細データをAIで統合分析、より高精度な成育診断と収量予測を実行する。
また衛星データで把握した土壌水分や栄養状態をもとに、必要区画や作物へAIロボットにピンポイントで水やりや施肥を行わせる。これにより水資源や肥料の無駄を省き、環境負荷の低減と効率化を図る。
衛星データによる環境情報と過去データを分析した結果から、病害虫や病気の発生リスクが高いエリアを早期に特定、リスクに応じた選択的かつ予防的薬剤散布を実施したり、有効な対策を未然にとったりと、農薬使用量の大幅削減を目指す試みも進める。
衛星から得られる長期的な気候変動パターンデータと作物の成育データを統合的にAIで分析、その結果に基づいて気候変動の影響を受けにくい栽培方法や品種選定に関する示唆を得て、農業全体の持続性と安定性を向上させるといったことも視野に入れている。
現在、AGRISTではこのデータ駆動型農業システムの実用化を目指し、ともに実証実験に取り組むパートナー企業を募集しており、決定次第、ともに農業分野での新たな価値創造と社会課題の解決へ向け、取り組みを加速させていく方針としている。今後の動向に注目したい。
(画像はプレスリリースより)

AGRIST株式会社 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000050444.html