バスの街を持続的に便利に
シンガポールのスタートアップ企業であるSWAT Mobilityの日本法人、SWAT Mobility Japan株式会社(以下、SWAT Mobility Japan)は7日、広島市向けに複数のモビリティデータや人流データを統合して、可視化・分析を可能とするモビリティデータ連携基盤の提供を開始したことを発表した。
主に市やバス事業者がバスの利用状況を把握したり、サービス水準設定のための分析を行ったりすることに用い、基礎データとして活用するほか、得られた指標から運用状況の改善を図るなど、路線展開の最適化を図っていく。
広島市は「バスの街」と呼ばれるほど、路線バスが縦横無尽に走り、市民の足となっているが、路線バス事業全体としては他の地方地域同様、人口減少・少子高齢化、モータリゼーションの進展などから厳しい環境にあるほか、コロナ禍を契機とした人々の行動変容による収支悪化、運転手不足の深刻化といった問題を抱え、サービスの維持・継続が危ぶまれているという。
こうした中で、バス路線の最適化や適切な運行便数などの設定、交通事業者とのより深い対話が重要と認知されてきたものの、自治体として交通評価に必要な指標や判断基準を定量的かつ客観的に設定することはできておらず、より効果的なデータの収集と活用が急務となっていた。
SWAT Mobilityは、創業以来、東南アジアを中心に画期的な輸送ソリューションを社会に提供、より少ない資源でより多くの人や物を運び社会を豊かにすることを目指して事業展開を行ってきた。
日本には2020年に上陸、以降、日本ならではの社会課題といえる地方での公共交通イノベーションシステムを中心に研究開発・サービス提供を進めてきている。
具体的には、世界でもトップクラスとの評価を受けるルーティングアルゴリズムと先進技術を活かし、オンデマンド車両提供サービス・交通運行システムを実現するなど、日本の地方都市におけるDX推進を担ってきた。
路線バスの実証運行分析も実施
広島市向けのデータ分析システムでは、「広島県モビリティデータ連携基盤」から取得したデータを活かし、広島市やバス事業者が使える複数データの統合・可視化・分析が可能な仕組みを構築した。
構築にあたっては、運輸統計や公共交通の運営で活用されている指標、他の複数自治体における公共交通政策から意思決定に必要となる指標などの調査・検討を重ね、最適化を図ったという。
今後は行政担当者が事業者や住民と対話する際の基礎データになることはもちろん、行政担当者自身が各指標を用い、改善必要箇所の洗い出しを実施したり、施策実行時の目標値設定や実証実験後の効果検証などを自立して行ったりできるようになると見込まれている。
SWAT Mobility Japanでは、このデータ分析システムの構築に加え、これを活かした広島市内での路線バス実証運行分析も実施している。実証実験前後の利用者数と利用傾向の分析に加え、実証運行路線とその関連路線の利用動向変化も追跡調査し、実証運行の結果を複合的・定量的にまとめて提供したという。
同社はすでに全国20以上の自治体や交通事業者向けに乗降データ分析システムや交通分析の提供を行っており、日々20万件もの乗降データを扱っている。今後はこれら実績によって蓄積されたノウハウを活かし、地域の公共交通機関にかかる課題をデータの力で解決していけるよう、一層の事業展開を進めていきたいとした。
(画像はプレスリリースより)

SWAT Mobility Japan株式会社 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000060196.html