AIで船舶を検出し地図上に可視化、海洋監視の初動を支援
宇宙とデジタル技術を掛け合わせ、新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップの株式会社スペースデータ(以下、スペースデータ)は17日、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」のレジリエンス領域「Geo-Resilience」の新機能として、光学衛星画像から海上の船舶をAIで自動検出する「Vessel Watch」をリリースしたことを発表した。
将来的にAIS(船舶自動識別装置)の位置情報と自動照合させ、位置情報を発信しないで航行する「ダークベッセル」の疑いがある船を検出、海洋監視の初動を支援していくとする。
広大な海においては、違法・無報告、無規制漁業や不正な洋上活動の多くが、AISと呼ばれる位置・識別情報の電波発信の仕組みを止めた状態で行われている。しかし巡視船や航空機によるパトロールで直接監視できる範囲には限りがあり、そもそもどこに問題のある船がいるのかを面的に把握することが、海洋監視の大きな課題となっている。
こうした中、地球乾燥衛星は広大な海域を繰り返し撮影し続けており、船舶の存在を捉えるための材料はすでに宇宙に蓄積されている状態にある。
よってあとはこの膨大な画像データを、海を守る現場の担当者らが専門知識なしに直接使えるかたちへとどう変換していくかが問題だった。そこでスペースデータでは、衛星画像の取得から船舶の検出までをAIで自動化し、結果を地図上で分かりやすく確認できる仕組みとして、今回の機能開発を行ったという。
海域と日時を指定するだけで船舶を検出、詳細情報までチェック可能
「Vessel Watch」では、地図上で対象の海域と日時を指定すると、該当する衛星画像データをAIが即座に解析し、検出した船舶を地図上にピンで表示する。全長数メートルの小型船から400メートルを超えるような大型船まで幅広く検出可能で、船体が画像の1画素より小さい場合であっても、航跡(船が残す波のパターン)から検出できる場合もあるという。
各検出をクリックすると、AIが推定した船種や全長、全幅、速度、針路などの属性と、検出の確からしさを示す信頼度スコアといった詳細情報を確認できる。検出地点を中心に切り出した衛星画像も表示されるため、ユーザーが自らの目で本当に船かどうかを検証可能ともしている。なお信頼度の閾値は用途に応じて調整できるとされた。
将来的には、画像から検出した船舶位置を、同時間帯のAIS位置情報と自動で照合できるようにする計画だ。これが実装されれば、AISと一致した検出を「AIS相関済み」、一致しなかった検出を「AIS未相関」として区別して表示し、位置情報を発信していない不審な船舶だけを一覧で確認できるようになる。
海上では白波や岩礁、雲、洋上風力発電などの構造物が船と誤認されやすいため、雲の自動判定や海洋インフラ、海岸線データとの照合により、これら誤検出を自動で除外する仕組みも搭載した。誤検出の追跡は現場の時間と燃料を浪費することとなるため、検出漏れの低減よりも表示された検出の確からしさ、誤検出の抑制を優先した設計としている。
なお、この「Vessel Watch」の検出には、欧州の地球観測プログラム「コペルニクス計画」の衛星画像による公開データが用いられた。船舶検出には、米国のAI研究機関が海洋保全プロジェクト向けに開発・公開している学習済みAIモデルを採用している。
今後は海上保安や海域監視、水産行政における船舶分布の把握はもちろん、漁業取り締まりや法執行機関、海洋保全団体によるダークベッセル疑いの抽出、港湾・海運・海事保険などに関わる企業の調査業務での活用などで役立てられることが期待される。
(画像はプレスリリースより)

株式会社スペースデータ プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000182.000080352.html