インターネットをシャットダウンから守れ
政府がインターネットを管理しようというリーバーマン法案がアメリカの議会で審議されている。はたして結果はどうなるのか。
ジョー・リーバーマン上院議員は、インターネットはアメリカの国家資産でありアメリカ政府は「サイバー911」に基づいてインターネットをシャットダウンする権限を持つべきだと主張する。これに対しアメリカの市民擁護団体が猛反発している。
新法案はアメリカ大統領にインターネットに対する特権を力を与えるものだ。
現在アメリカ政府にはCYBERCOMというシステム構想がある。CYBERCOMとはアメリカ軍のサイバー・ウォッチ・ドッグ(インターネット監視システム)のことであり、海外のサイバー攻撃からアメリカ国内のネットワークを守るシステムで、現在開発段階である。法案はこのCYBERCOMの開発プロセスに合わせて進んでいる。
シドニー・ヘラルド・モーニングの投稿記事:
法案でリーバーマンは政府はアメリカのネット資産とアメリカ国民を保護し続けるべきだと主張している。リーバーマンは、インターネットは『電子のパイプラインでつながった』危険な空間であり、政府、インフラ、銀行などの機密情報がパイプラインを通って漏洩する危険性があると主張している。
これらの権限は緊急時の権限として作動するもの。 ZDNetによると、こういった法律が議会で立案されたのは今回がはじめてではないという。今まで何度も超党派の支持を得て議会で議論されており、今回も超党派の支持を得て議会で議論されているのだという。
以下は反対論の要約:
1 政府によるシャットダウンがおこなわれれば世界は混乱するだろう
2 アメリカ国外のインターネット・インフラは進んでいる。もとは電話回線だが他のメディアでも動くよう進化している。インターネットはもともとアメリカのアイデアかもしれないが、現代のネットはアメリカ主導ではない。
3 インターネットの中核機能の多くはアメリカ国内にある。そのことがインターネットの弱みになっている。アメリカは各国からのサイバー攻撃のターゲットになっている。そのような場所が世界を管理しようというのはおかしい。
4 サイバー攻撃は今にはじまったことではない。インターネットがはじまったころからある。
5 インターネットの発展に伴いサイバー攻撃もそれに同期してエスカレートしている。
6 他の国はサイバー攻撃を受けていないようだ。
7 インターネットはもともとはアメリカのアイデアだが、今やインターネットは世界的なもの。法案は地球規模のコンセンサスにはなりえない。
この法案は政治的にある程度透明性があり、理にかなったもののように思える。しかし実際に行なわれるとなると脅威であり、大統領が非常に大きな権限を持っているという点も問題だ。そしてどのクラスのサイバー攻撃なら大統領令が出るのかということに関して、国民が口をはさむこともできないようだ。
これらの点から見て、リーバーマン法案は穴があり、別の面から見ても完成度の低い法案だと感じられる。
サイバー冷戦がおきた場合、アメリカは世界の敵になる可能性がある。他の国々がアメリカの決めたことに従わなければならない理由はない。そういったことを考えると、この法案は今の時代にそぐわない法案だということになるのかもしれない。

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Protecting Cyberspace bill- Lieberman’s law to shut down net
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