次世代通信基盤の実装と消費電力の圧倒的低減を目指す
日本電信電話株式会社(以下、NTT)は12日、次世代通信基盤「IOWN」の本格的社会実装に向け、その新たな価値創造を支える光電融合デバイスの企画・設計・開発・製造・販売を手がける新会社「NTTイノベーティブデバイス株式会社」を2023年6月に設立すると発表した。
新会社の事業活動を通じ、光電融合の大きなメリットである低消費電力化を、通信領域はもちろん、データセンターなどのコンピューティング領域に広く導入させ、AIの活用拡大など今後予測される社会ニーズとそれに伴う消費電力増大の問題に対応していくとする。
「IOWN」とは?
「IOWN(アイオン)」は、Innovative Optical and Wireless Networkの頭文字を取ったもので、最先端の光技術などを用い、現在のインターネットだけでは実現できない個と全体の最適化、多様性を受容できるより豊かな社会を実現するとして掲げられている構想。
主に、ネットワークのみならず端末処理までを光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」、サイバー空間でのモノや人にかかる高度でリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、これらを含んだ多様なICTリソースを効率良く配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つから構成される。
これらの実現には、超低消費電力と高速信号処理の仕組みを確立すること、膨大な計算リソースの確保、現実と同等以上の仮想世界と高度な予測技術の融合を叶えることなど、これまでの技術延長では不可能なイノベーションを達成する必要がある。
NTTでは、このIOWN構想の実現に向けた具体的ロードマップを策定し、技術開発などさまざまな取り組みを推進している。
今回は、この構想に含まれる電力効率の向上部分で、NTT研究所において進めてきた光電融合デバイスの開発などにかかる領域を独立させ、これを専門に担う新会社を立ち上げてデバイスの早期市場投入と事業本格化を図っていくこととした。
8月には光電子部品開発などのグループ会社に統合予定
新会社となる「NTTイノベーティブデバイス株式会社」は、資本金300億円(資本準備金を含む)でスタート、順次増資を検討しており、NTTの100%子会社として創設される。代表取締役社長には、塚野英博氏が就任する。
同社では、光回路と電気回路を融合させた、小型で高速通信が可能、圧倒的低消費電力を叶える光電融合デバイスの早期開発・提供を推進する。
今後は、NTTグループの人材・知見を結集するとともに、光電融合デバイスにかかる企画・設計・開発・製造・販売などフルスコープでのメーカー機能を有する製造会社たる体制を最適な状態で構築するため、2023年8月を目途に、NTTエレクトロニクス株式会社と統合させる予定という。
NTTエレクトロニクス株式会社は、光電子部品・通信機器などハードウェア製品の開発・設計・製造・販売を中心に、セキュリティ・セイフティやデジタル映像領域なども含む多彩な事業領域で最先端の研究成果を活かした、自社工場での“ものづくり”を展開している。
(画像はPixabayより)
日本電信電話株式会社 プレスリリース
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/05/12/230512g.html